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【日本映画】「泣く子はいねぇが〔2020〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】佐藤快磨
【出演】仲野太賀/吉岡里帆/寛一郎/山中崇/余貴美子/柳葉敏郎/
【個人的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】主人公 たすくは、秋田県男鹿半島に住む男性。結婚をし娘 ことねが生まれるが、父となる覚悟が希薄なたすくは、離婚をし、東京で生活をするも、居場所がなく、故郷秋田に戻ってくる。

 

 

 

 

・佐藤快磨監督は、是枝裕和主宰の映像制作者集団「分福」に参加し、2014年『ガンバレとかうるせぇ』で様々な賞を受賞しています。2020年『泣く子はいねぇが』で初の商業監督作品を手掛けています。

・仲野太賀は、俳優 中野英雄の次男として生まれ、2006年『新宿の母物語』でテレビドラマデビューをしています。2007年「フリージア」で映画デビューもしており、2008年「那須少年記」で初主演をしています。多くの作品に出演しており、今後の活躍に期待できる俳優です。

・吉岡里帆は、京都太秦生まれで、芸術文化に親しみながら学生時代を過ごし、高校3年のときに、『天地明察』のエキストラ出演をします。その後、演劇の世界に触れ、18歳のときに、唐十郎の『吸血姫』で主人公を演じ、徐々に芸能の世界にのめり込み、2013年より女優としての活動を始めますが、グラビアやミュージックビデオの出演が多くなります。2015年『マンゴーと赤い車椅子』で映画デビューをし、テレビやドラマで活躍をしています。

・本作は、是枝裕和監督が携わる映像制作者集団「分福」が企画協力をしています。

・物語は、秋田県に住む主人公が、子供が生まれたことで、大人としての自覚を持ち生活をしていくはずが、その心構えの未熟さに、自分自身を見直していくストーリーです。

・序盤から、秋田県の風習であるなまはげが子供をさらっていくところが描かれます。

・「なまはげ」は、秋田男鹿半島の風習で、無病息災や方策を祈るために年の節目にやってくる来訪神です。鬼のように見えますが、鬼ではありません。日本を代表する伝統行事として2018年にユネスコの無形文化遺産としても登録されています。

・「泣く子はいねぇが」とは、なまはげが家に押し入り、その家の疫病神や災いを退けるためにやってくる神様の話す掛け声です。

・たすくが、結婚をし子供が生まれたことで、その生活環境が徐々に変わってきます。

・父親としての自覚とふるまいができず、そんななか、なまはげ行事に参加した際に、酒のせいで全裸で駆け回る奇行をしてしまったことで、故郷にはいられず、東京で生活を始めます。

・東京での生活も特に将来感のない生活を送っていたことで、あまり大人として成長できていなかったこともあり、そもそも、このたすくの生活観や人生観に共感しづらいところはあります。

・と、頼りない主人公ではありながらも、どこからしら、誰にでもそんな踏ん切りのつかないような時期があるのかと思います。

・仕事を転々とし、日々の生活ものらりくらりしていることで、どこかモラトリアムを抱えているところもあり、この考え方が本作の一つの筋道とも思えます。

・「おめぇの親父さんがどういう思いであの目一つ一つ彫ったのかしらねぇのか、あん?」

・故郷に舞い戻ったたすくに、周囲の雰囲気もあまり良くはないのですが、そんな中でも、娘と元妻のために、生活を立て直そうとし、自分自身の自覚の無さを立て直そうとしていきます。

・子供から大人になるということは、時間が解決するときと、精神的に解決するときがあり、多くの人はその「精神的に自立」する時期によって、その後の生き方に影響するのかと思います。

・芸能人水泳大会のビデオを見て笑うシーンがありますが、そのシーンは、ビデオを観ている側を観て何を感じるのかというメッセージでもあると思います。

・終盤シーンでは、たすくの選ぶ道が描かれますが、これは観てもらうほうがよいです。

・主人公 たすくの視点で描かれる物語ではありますが、その周辺の人物もしっかりと描かれており、「どうしていくのか?」ということを問いかけるために必要な構成となっています。

・108分の時間ながら、しっかりとまとめ上げられており、特に仲野太賀の多数ある出演作品で、また一つの異色なキャラクターを作り上げたのかと思います。

 

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