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【日本映画】「すばらしき世界〔2021〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】西川美和
【出演】役所広司/仲野太賀/六角精児/北村有起哉/白竜/キムラ緑子長澤まさみ/安田成美/梶芽衣子橋爪功
【個人的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】主人公 三上は、殺人を犯し、13年の刑期を経て出所する。13年の時間で変わってしまった社会で生活をするため、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立しようとする。ある日、生き別れの母を探す三上にテレビ番組の製作者が三上の社会復帰をおもしろおかしく描こうと近づいてくる。

 

 

 

 

西川美和監督は、学生の頃より映像の世界に興味を持ち、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」のスタッフとして参加し、その後、2002年「蛇イチゴ」で長編映画監督デビューをしています。2006年「ゆれる」では、国内の数々の映画祭で評価され、2009年『ディア・ドクター』でも評価されています。監督自身が脚本を手掛けており、独特な感性のある作品を作り出す監督です。

役所広司は、もともとは役所勤務の職員でしたが、仲代達矢無名塾に入り、前職の役所勤めというところから芸名を命名してもらっています。

・仲野太賀は、俳優 中野英雄の次男として生まれ、2006年『新宿の母物語』でテレビドラマデビューをしています。2007年「フリージア」で映画デビューもしており、2008年「那須少年記」で初主演をしています。多くの作品に出演しており、今後の活躍に期待できる俳優です。

・本作は、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案としています。

西川美和監督は、本作で初めて小説原作の作品を手掛けています。

・英題の「Under The Open Sky」は、劇中の台詞から引用されています。

・物語は、殺人を犯した主人公が、13年後に出所した社会で生き別れの母を探そうとするも、様々な問題と直面するストーリーです。

・序盤から刑務所での生活と出所までは描かれます。

・13年間、刑務所で生活していたことで、世間のズレがあり、一般社会ではなかなか仕事も見つからず、生活保護の元、仕事を探し始めます。

・愚直というか、元ヤクザの鉄砲玉というか、主人公自体が自らの考えにまっすぐな人ではあるので、都度都度問題が発生します。

・また、囚役中のことを手記として取材してもらうことも始めます。

・服役中では、労務をしなくてはならないのですが、裁縫等の手に職があることで、仕事を探しますが、やはり、反社会勢力が一般社会で生活することでの問題を提起しています。

・「そんな仕事、いまどきある?」

・愚直な感じがよく似合う不器用な人というのは、役所広司の演技によく似合い、とても安心して観られます。

・医者の女性が2回目に登場したときに、貧乏ゆすりをしていますが、このちょっとした演技がポイントではあります。

・「もう最高じゃん、この人だけで番組できちゃうって」

・手記を元にテレビ番組を制作しようとしているTV制作会社の人も登場し、物珍しさや話題性などを着目し、三上の社会復帰とともに、その裏の顔も取材しようとします。

・「あんたみたいのが、何も救わないのよ」

・取材する側と取材される側、それぞれの思惑と正義があり、そのことでジレンマに落ちる仲野大賀演じるライターも立ち位置もジャーナリズムとしての問題提起となっているように思われます。

・メイクとはいえ、13年前の若い感じと13年後の風貌の違いを演じられるのはなかなかすごいところはあります。

役所広司の素晴らしいところは、凄みがある演技を普通にできることなのかもしれません。

・染み付いてしまっている言動と考えはなかなか払拭できるものではなく、普通の正義感として振る舞っても、過去の経緯から、必ずしもその行為が正義とはならない人もいるような印象も受けます。

・「それってやっぱり生い立ちに関係があるんでしょうか?」

・実際には根は愚直な三上だったのかと思えますが、とはいえ、殺人のために服役していた事実もあり、事件の経緯が正当防衛だとしても、それ以前の行動や発言により、印象が変わってしまうこともあります。

・スーパーの店長は、鑑識の仕事を別にしているのかもしれませんが、とても良いつながりな人と出会ったよなぁと思います。

・様々な社会問題を取り入れつつも、決して違和感がなく、辻褄自体も概ね整合性が取れており、普通の主人公視点の物語ながらも、複雑な構成でまとめ上げられている本作は非常に高度で完成度の高い作品かと思います。

・反社会勢力に関わってた人物を主人公とした作品ですが、根幹に根ざすテーマはそういう問題ではなく、現実に起こり得る社会格差と住みづらさが描かれており、非常に見応えのある作品です。

 

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