ロクカジョウ [映画や商品を紹介]

様々な作品・商品をカジョウ書き(箇条書き)にて紹介します。

【アニメ】「竜とそばかすの姫〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】細田守 
【出演】中村佳穂/成田凌/染谷将太/玉城ティナ/幾田りら/森川智之/津田健次郎/小山茉美/宮野真守/森山良子/清水ミチコ/坂本冬美/岩崎良美/中尾幸世/佐藤健/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】過疎化の進む高知の田舎町が舞台。主人公 すずは、幼い頃に母親を亡くし、父と2人で暮らしている女子高生。全世界で50億人以上が集う仮想世界「U」で「ベル」というアバターで参加し始め、そこで、ベルは歌うことで注目をされていく。

 

 

竜とそばかすの姫

竜とそばかすの姫

  • 細田守
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・細田守監督は、中学時代に劇場版『銀河鉄道999』や『ルパン三世 カリオストロの城』に影響を受け、アニメーターを目指し、スタジオジブリには採用されなかったものの、東映動画で原画や演出に携わり、1999年『劇場版デジモンアドベンチャー』で監督に抜擢され、2000年『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』で高い評価を得ています。その後、2005年『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』を制作し、フリーの演出家となります。2006年『時をかける少女』2009年『サマーウォーズ』を制作し、ヒットを飛ばしています。その後は、スタジオ地図を設立し、コンスタントな映画製作に取り組んでいます。

・中村佳穂は、20歳より本格的な音楽活動を始め、京都を中心に音楽活動をしています。2014年自主制作映画「家路 On The Way Home」で主題歌等を担当し、2021年『竜とそばかすの姫』では、主人公の声と劇中歌を担当しています。

・成田凌は、『MEN'S NON-NO』のモデルとして活躍以後、TVや映画でも出演するようになり、若手として着実なキャリアを積んでいます。

・染谷将太は、子役から役者としてデビューしており、映画を主軸として役者をしています。なお、2015年1月1日に菊地凛子と結婚しています。

・細田守監督による長編オリジナル作品第6作となります。

・第74回カンヌ国際映画祭で「カンヌ・プルミエール」部門にてワールドプレミア上映されています。

・物語は、主人公の女子高生が現実の世界で心を閉ざしてしまい、仮想世界でアバターを通じて他人と接して行くことで、自分自身を見つめ直していくストーリーです。

・序盤から、すずの高校での生活や、仮想空間Uの世界とのつながりで、「Bell」というキャラクターを作り出すことが描かれます。

・「サマーウォーズ」でもすでにアバターということで、現実とインターネットの世界の繋がりを描いていましたが、本作も同様にその世界が描かれます。

・すずとBelleの関係としては、現実と仮想空間おギャップがあることで、すず自体の存在価値を見出すわけですが、そのきっかけは音楽であります。

・この音楽が良いという根拠は特に描かれていません。

・なお、「Belle」はフランス語では「美しい」という意味のようです。

・「あなたは、だれ?」

・仮想空間と現実世界の関わり合いを描いた作品は、細田守監督作品では、結構多めですが、本作もまた、似たような環境構築がされています。

・駄目なことではないのですが、世界の構築がいずれも同じ雰囲気と世界観があるので、さすがに食傷気味に思います。

・むしろ、何でもできるような仮想空間の世界なので、ご都合的な雰囲気は否定できないです。

・また、SNSのめんどくさい点が描かれており、ネットの炎上をゲーム感覚で表現しているところがあります。

・主人公 すずのキャラクター自体は、「時をかける少女」の真琴とは異なるところでもあり、どうも、気持ちよさがないので、のめりこみにくいところはあります。

・中盤まで、感情移入の先が見当たらないのもそういう事かもしれません。

・前半は、主人公の存在する場所を示し、存在価値を自認していく展開となっています。

・竜の抱えている問題が、仮想空間ではなく現実に存在しており、そのことからのフラストレーションの捌け口にもなっている場所が仮想空間というところに安易さを感じてしまうところはあります。

・「たすける?どうやって?」

・現実で起こっていることを仮想現実の空間を通じて、現実世界に問いかけるという、文章にすると「ちょっと何を言っているのかわからない」ように思えますが、一見複雑そうに見えて、やっていることは普通にシンプルなことではあります。

・「全部ゼロになっちゃうんだよ」

・この発言については、まったく共感できません。ゼロにはならないわけで、仮想現実と現実のつながりが別問題ということを肯定していることになりますが、この発想がある以上、心ない無責任な言動がネット上で起こっているとも言えます。

・感動するかどうかで言えば、音楽で感動できるところはありますが、ストーリーや行動で心動かされる要素がちょっと弱い気もします。

・本作が痛快な作品となっていないのは、問題の根源が特定の人物となってしまっていることで、「サマーウォーズ」のときのように戦う相手が明確ながらも、誰も傷つける要素がないところがよかったのですが、本作は傷ついてしまう対象が少なからずとも存在してしまっていることがあります。

・そういう点では、感情移入する先が多少限られながらも、その限られた対象には深く刺さる内容かと思います。そのため、賛否が生まれてしまうのは当然の事かもしれません。

・序盤と最後では、すずのキャラクターの成長が見られますが、成長したとはいえ、ちょっと感情の表し方が極端かなぁとは思います。

・作品としては、細田守演出と画面の見やすさという点で良いのかと思いますが、物語のメッセージ性としては、その対象が存在してしまっている点より、重くなってしまった印象があるところがちょっともったいなかったきもします。

 

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【アニメ】「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】大森貴弘
【原作】サンエックス
【脚本】吉田玲子
【ナレーション】井ノ原快彦/本上まなみ/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公はすみっコたち。キャンプに出かけたすみっコたちは、「5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いたちがやって来て夢をかなえてくれる」という伝説で、5人兄弟の魔法使いに出会う。

 

 

 

 

・大森貴弘監督は、アニメーターとして活動をし、1996年「赤ちゃんと僕」で監督デビューをしています。『はいぱーぽりす』『魔法のステージファンシーララ』を手掛け、近年は、『地獄少女』『バッカーノ!』『夏目友人帳』『デュラララ!!』 などの監督をしています。

・井ノ原快彦は、12歳よりジャニーズ事務所に所属しており、V6のメンバーとなります。2007年に瀬戸朝香と結婚をしており、多彩な才能と温厚な雰囲気で好感度が高いです。

・「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」に続く劇場アニメ第2弾

・すみっコぐらしは、多数のヒットキャラクターを生み出しているサンエックスによるキャラクター。

・主題歌は、BUMP OF CHICKEN「Small world」となっていますが、BUMP OF CHICKENのタイアップは毎回「タイアップ相手とバンドのイメージが釣り合わないなぁ」とは思います。

・物語は、「5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いたちがやって来て夢をかなえてくれる」という伝説で5人の魔法使いと出会い、そのことで、たぴおかが魔法使いと間違えられて、月へ連れて行かれてしまうストーリーです。

・序盤より5人の魔法使いのことが説明され、そこから、すみっコたちとの関わりが描かれ始めます。

・基本的にキャラクターは会話をしないので、すべてナレーションで説明が行われます。

・すみっコたちの日々を描くところは、非常にのんびりしたところでもあり、この要素がむしろすみっコぐらしの魅力でもあります。

・なお、人間も他のモブもほぼ関連がしてこないという点では、本作の世界観はきっちり理解するほうがよいです。

・電車の停車時の揺れはちょっとツボです。

・1/3を過ぎたところで、本作の題名にもなる魔法使いが出てくるわけで、ここから本題と言って良いです。

・悪者が出てくる物語ではないので、安心して観られ、油断しているとホッコリと感動してしまう展開は、前作と同様ですが、どちらかといえば、前作のほうが良かったとは思います。

・64分という時間でもあり、親子で見るにはとても良い作品かと思います。

 

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【アニメ】「映画 えんとつ町のプペル〔2020〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】廣田裕介
【原作】西野亮廣
【声優】窪田正孝/芦田愛菜/立川志の輔/小池栄子/藤森慎吾/野間口徹/伊藤沙莉/宮根誠司/大平祥生/飯尾和樹/山内圭哉/國村隼/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】煙に覆われたえんとつ町に住む少年ルビッチが主人公。ある日、ゴミ人間 プペルと出会い、星を見つけに行くたびに出る。

 

 

映画 えんとつ町のプペル

映画 えんとつ町のプペル

  • 廣田裕介
  • 日本映画
  • ¥2037

 

・廣田裕介監督は、2001年「ピロッポ」でCGI監督としてデビューしており、『アニマトリックス - BEYOND』『Genius Party - BABY BLUE』『Genius Party Beyond - MOONDRIVE』『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』などに参加しています。2020年『映画 えんとつ町のプぺル』で映画初監督を努めています。

・窪田正孝は、オーディションに合格し、芸能界入りをし、2006年『チェケラッチョ!! in TOKYO』でテレビ初主演でデビューしています。その後、2008年『ケータイ捜査官7』で主役となり、様々な監督と仕事をし、徐々に評価を上げ、テレビや映画と活躍している俳優です。

・芦田愛菜は、母親に進められ、3歳より芸能界デビューをしています。2011年「マルモのおきて」で人気となり、以降様々なメディアに登場しながらも、難関校でもある慶應義塾中等部に入学しています。

・物語は、えんとつだらけの町で、その煙の向こうにある星空を探しに、ゴミ人間のプペルとルビッチが旅に出ていくストーリーです。

・序盤は、ルビッチの境遇を説明するシーンから始まり、このえんとつの町の成り立ちを説明し、この町でプペルが生まれるところを描きます。

・ポスターや宣伝等では、プペルは、この少年のように思われますが、全然違います。プペルは、ゴミでできたゴミ人間です。

・ルビッチとプペルの出会いは、序盤ですぐに描かれますが、アニメーションでこの複雑なプペルを表現しているのは、CGを使っているとはいえ、大変なところかと思います。

・大変なところではあるのですが、ストーリー自体がまったく刺さってこない点もあり、このあたりは、絵本の内容を深く彫り下げて制作したところでもあり、作品の完成度は、媒体によって変わってきてしまうと感じるところがあります。

・アニメーションの見え方は、スタジオ4°Cが関わっているところもあり、CGを取り入れた完成度の高いアニメーションではあります。

・やはり、問題なのは、ストーリーが妙に稚拙なところがあり、絵本原作というところがそう感じてしまうところかと思います。

・鑑賞対象を考えるのであれば、アニメーションの完成度とストーリーの感じ方の格差をもう少しどちらかに寄せておいたほうが良かったかもしれません。

・どちらかといえば、アニメーションに興味のあるコアな人が鑑賞していると思いますが、それであれば、その他の世界観を深く掘り下げてくほうが良かったかもしれません。

・「すみっコぐらし」「クレヨンしんちゃん」などは、アニメーション技術的にはわかりにくい形ですごいことをしていますが、パッと見は、児童向けをしっかりと守っているため、作者の訴求意図の志の抑え方が絶妙だったとも思えます。

・映画を観てから、絵本をみると印象が変わるのかもしれませんが、筆者は、映画からが入り口となったので、機会があれば絵本を見てみたいところです。

 

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【アニメ】「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〔2021〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】村瀬修功
【原作】富野由悠季
【声の出演】小野賢章/上田麗奈/諏訪部順一/斉藤壮馬/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】宇宙世紀105年。シャアの反乱から12年後の世界で、腐敗した世界の中で、マフティー・ナビーユ・エリンと名乗る人物が率いる反連邦組織「マフティ」が、地球連邦政府に対抗していく。

 

 

 

 

・村瀬修功監督は、1988年『鎧伝サムライトルーパー』の作画で注目され、1991年『機動戦士ガンダムF91』に抜擢されています。その後、2017年「虐殺器官」で初劇場アニメ監督として作品を作り、テレビアニメやOVAなどを手掛けています。

・本作は、1989年〜1990年にかけて刊行された富野由悠季作の小説で、全3巻の内容です。

・原作は、『逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編として描かれていますが、本作は、『逆襲のシャア』の続編として設定されています。

・物語は、アムロ・レイとシャア・アズナブルのとの戦いがあった宇宙世紀93年から12年後の世界が舞台で、当時の戦争を見届けたハサウェイ・ノアが地球連邦政府に反旗を翻すストーリーです。

・序盤から、特権階級専用往還シャトル「ハウンゼン」に登場している、ハサウェイとその他登場人物が描かれ、そこで、マフティーを名乗る集団にハイジャックされます。

・ハイジャックの緊張感と容赦ない演出はガンダム作品といえども、結構衝撃的ではあり、PG12指定くらいでも良いのかもしれません。

・いつもながらのガンダムと異なり、主人公が登場しますが、ガンダム自体がすぐには登場しません。

・また、世界観的にちょっと説明が必要な要素もあり、少なくとも「機動戦士ガンダム 劇場版3部作」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」は観ておくのが良いと思います。

・序盤のハイジャックシーンは、すでに先行予告として配信されており、まずは作品の雰囲気とテンションがわかると思いますので、こちらを観てから、全編を観るか考えると良いかもしれません。冒頭15分ほどの予告編となります。

・なお、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は三部作構成と予定されており、本作だけでは、ストーリーは完結しません。

・オープニングは、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の戦闘シーンのCGとなっており、どうも、反射や光沢感のあるCGにはアニメ絵としっくりこないところはあります。

・地球連邦軍とマフティの関係性を理解すれば、だいたいのストーリーはわかります。

・なお、「マフティー・ナビーユ・エリン」とは、ハサウェイのことで、マフティの中心人物ではあります。

・なぜ、単身で行動をしているのかは詳細には描かれませんが、きっちりと説明されています。

・本作は、結構作り込まれた演出がされているので、一度観ただけでは気が付きにくい小ネタが多く仕組まれています。

・トランクを開けるときに小さい糸のようなものを仕掛けてあり、開けたかどうかを確かめています。

・中盤で、ギギが朝食を食べているシーンも、会話をしながらも、しっかりと食事しているように描かれ、徐々に食べ物がなくなっていく演出がされています。

・こういう細かい演出が色々と仕掛けられていると思います。

・ギギ・アンダルシア自体が妙にエロティックなところもあり、サービス的なカットも多いです。年齢がわからないところもあり、本作だけでは、彼女の役回りがよくわかりません。

・3部作という点ではありますが、序盤より、詳細を描きながら、世界観がわかるような展開となっているので、本作では、なんとなく助走程度の盛り上がり程度でとどまっています。

・モビルスーツ戦はありますが、音響のこだわりがあり、使用している重火器の音がそれぞれ異なります。

・また、カメラのレンズを意識するような映像にもなっており、奥行き感のあるぼかしがされていたりしており焦点距離があるカメラで撮影していることがわかります。アニメではここまでやる必要がないのですが、意図的に、演出に遠近感を用いています。

・要所要所、ギギのセリフから、ハサウェイの正体を知っているようにも思われますが、詳しいことは描かれません。

・CG制作と作画的には「機動戦士ガンダムユニコーン」のようにクオリティは高いのですが、「機動戦士ガンダムユニコーン」のような絵柄でも好みはあると思います。

・ファーストガンダムの流れで、初代のガンダムのキャラクターに関わる人物が登場するので、往年のファンにも理解しやすいところはあると思います。

・小説版とは異なる展開も多少予測できるので、本作がどのように進んでいくのかは気になるところです。

・2作目の公開がいつになるのかが未定ですが、それほど長期間のスパンとならずに順次公開されるのかと思います。

 

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【アニメ】「ジョゼと虎と魚たち〔2020〕」ってなんだ?

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【監督】タムラコータロー
【原作】田辺聖子
【出演】中川大志/清原果耶/宮本侑芽/興津和幸/Lynn/松寺千恵美/リリー/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公 恒夫は海洋生物学を学ぶ学生。ある日坂道から転げ落ちそうになった車椅子の少女ジョゼを助ける。ジョゼは幼いころから足が悪く、祖母チヅから、ジョゼの相手をするバイトを持ちかけられる。

 

 

ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち

  • タムラコータロー
  • アニメ
  • ¥2037

 

 

・タムラコータロー監督は、『おおかみこどもの雨と雪』助監督や『ノラガミ』シリーズの監督を手掛けており、2020年「ジョゼと虎と魚たち」で長編映画初監督をしています。

・田辺聖子は、恋愛小説などを中心に小説家として活躍しており、第50回芥川龍之介賞をはじめ、様々な文学賞を受けています。また、2008年に文化勲章を受賞しています。

・中川大志は、小学生の頃にスカウトされ、子役デビューをしています。2010年「半次郎」で映画デビューをし、その後、2011年テレビドラマ「家政婦のミタ」で注目され、以降、テレビ・映画・CMと幅広い活躍をしています。

・清原果耶は、小学生の頃からクラシックバレエをなり、2014年に好奇心で受けたオーディションでグランプリを獲得し、モデルデビューをしています。「nicola」の専属モデル説いて活躍後、2015年NHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビューをし、2017年『3月のライオン』で映画にも初出演しています。歌手としても活動をしており、多彩なジャンルで活躍する女優です。

・田辺聖子の原作は、約30ページほどの短編作品で、実写映画版は、内容が追加されています。

・2003年に犬童一心監督により実写映画化されています。

・挿入歌と主題歌は、EVEの「蒼のワルツ」「心海」となっています。

・物語は、歩くことができない少女ジョゼと大学生の恒夫との関係を描いたラブストーリーです。

・大阪を舞台に描かれており、主人公恒夫の通う大学は、大阪大学大学院生命機能研究科(吹田キャンパス)を参考にされているようです。

・題名の「ジョゼと虎と魚たち」は、色々と取り方があり、あまり明確ではないのですが、ジョゼが叶えたい夢のこととジョゼを取り巻く環境のことを指しているようです。

・ジョゼの名前の由来は、愛読書フランソワーズ・サガンの登場人物の名前からとられています。

・絵柄的にはアニメとしては普通なところではあり、作画はしっかりとできています。

・特に背景の書き込み等は細かい描写がありますが、アニメーションの手法として、どこまでリアル二角かという点は、毎回悩ましいところはあります。

・そもそも、アニメーションに求めている点はリアルさという点よりも、実写でできないことがアニメではできるというところでもあるかと思います。

・想像的なシーンが出てくるというところでは、本作は、しっかりとアニメである理由があります。

・ジョゼ自体は、大阪弁で非常に生意気な喋り方をするのですが、性格が多少歪んでしまっているのはよくわかります。

・とはいえ、アニメーションと言う点では、どこかキレイな描き方がされており、車椅子自体も部屋の雰囲気も服装も、どこか生活感は薄い気はします。

・これは、本作は、そういう方向性の作品ではなく、恒夫とジョゼの関係のみをフォーカスしているとも言えます。

・足の悪いジョゼ自体は、疎外感をどこかに抱きながら生きてきているところもあり、演出としてシーンにより、ジョゼの視線の低いところでのアングルが使われています。

・通常の人物の視点と車椅子の視点では見えている世界はそれぞれ違うようにも思います。

・「ばあちゃん、そとは怖いだけやないで」

・実写映画とはストーリー展開は異なります。セリフで説明することもあり、演出としてはわかりやすくできているため、そのあたりも実写版とは異なります。

・ジョゼ自体が自ら変わろうとしていくところは、本作ならではのところであり、朗読のシーンでは、その意識が自分のみならず、他人に向いているところもあります。

・原作自体を読んでいないのですが、本作は、恒夫とジョゼの恋愛ものがたりであり、実写映画とは異なる展開の作品ではあるので、好みは別れてしまうのかもしれません。

 

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【アニメ】「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編〔2020〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】外崎春雄
【原作】吾峠呼世晴
【声の出演】花江夏樹/鬼頭明里/下野紘/松岡禎丞/日野聡/平川大輔/石田彰/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公 竈門炭治郎は、家族を鬼に殺され、妹 禰豆子も鬼となってしまう。妹を人間に戻し、家族を奪った鬼と戦うため、鬼殺隊となる。短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に乗り、その事件の解決のため、鬼と戦う。

 

 

 

 

・外崎春雄監督は、1994年「機動武闘伝Gガンダム」の動画を始め多数のアニメ作品のアニメータとして活躍後、2002年『ヴァイスクロイツ グリーエン』よりufotable作品に参加し、2016年『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』でTVアニメの初監督としてデビューしています。2020年『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』では長編映画初監督ともなり、初監督にして、日本国内興行収入1位となる400.2億円を記録しています。

・吾峠呼世晴は、24歳の時にダメ元で「週刊少年ジャンプ」に作品を応募し、第70回(2013年4月期)JUMPトレジャー新人漫画賞の佳作を受賞し、その後、『少年ジャンプNEXT!!』で『文殊史郎兄弟』で漫画家デビューをしています。その後、2013年に執筆した『過狩り狩り』をベースとして『鬼殺の流(きさつのながれ)』を制作して2016年に「鬼滅の刃」を発表しています。本作は、2020年に完結をしています。

・2020年の年間興行収入世界第1位であり、日本国内での興行収入は、401.3億円を記録しています。

・物語は、「鬼滅の刃」のアニメ版の1エピソードを映画化しており、40人以上の人が行方不明となってしまう無限列車に乗り込み、鬼と戦っていくストーリーです。

・序盤から、無限列車が登場し、その列車に炭治郎たちが乗り込み、そこで炎柱・煉獄杏寿郎に会い、そこで事件の元凶となる鬼と戦い始めます。

・本作は、原作コミックの7巻54話から8巻69話までの物語で、全編を通じての1エピソードになります。

・鬼滅の刃で闘う相手は、鬼と言う設定で、その鬼たちを統括するのは、鬼舞辻無惨と言う鬼が「原初の鬼」となっており彼がすべての鬼を生み出しています。

・本作を楽しむには、TVアニメ版を観てからの方が理解しやすく、「鬼殺隊の中でも「柱」と言うキャラクターたちの個性や成り立ちも理解ができます。

・ですので、世界設定を知った上で本作を観た方がさらに楽しめます。

・炭治郎たちの仲間や家族である、竈門禰󠄀豆子や我妻善逸、嘴平伊之助との関係性や性格もTVアニメ版でしっかりと描かれています。

・中盤までは、下弦の壱・魘夢との対決であり、その後、上弦の参・猗窩座も登場してきます。

・上弦、下弦とは、鬼の中でも強い能力を持つ十二鬼月と呼ばれる鬼で、今までの鬼とは強さが異なります。

・煉獄杏寿郎とともに列車の乗客を守りながら、鬼と闘うと言う流れであり、めいかいさはあります。

・夢と言う能力で鬼は炭治郎たちを追い詰めますが、夢からの目覚め方はなかなか過酷なことをしています。

・PG12指定というのもよくわかります。

・終盤は、煉獄杏寿郎の活躍とその信念が描かれ、ここで心動かされるファンが多いのかと思います。

・「鬼滅の刃」は、勧善懲悪的な要素があり、主人公一派も実直なキャラクターが多く、素直でまっすぐな考えに共感するのかと思います。

・多少、ギャグやコミカルな要素もあるので、好みが分かれるところはありますが、アニメーション技術は高く、監督の作家性よりも、コミック版をブラッシュアップした制作集団が作り上げた「鬼滅の刃」と考えると良いと思います。

・個人的には、映像は綺麗ではありますが、「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」を超えた完成度かと言われれば、多少疑問ですが、興行収入とは総じて作品の完成度は一致しないものでもあり、一つの流行として考えると良い作品かと思います。

 

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【アニメ】「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||〔2021〕」を観ての感想・レビュー

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【総監督】庵野秀明
【監督】鶴巻和哉/中山勝一/
【出演】緒方恵美/林原めぐみ/三石琴乃/
【個人的評価】★★★★☆

【あらすじ】世界規模の大災害が起こったと言われる「セカンドインパクト」以後の世界。ネルフに対抗する組織ヴィレが、フランス パリを舞台に、ユーロネルフ第1号封印柱復元オペの作業が開始され、碇シンジをめぐるエヴァンゲリオンの物語が結末を迎える。

 

 

 

 

・庵野秀明総監督は、幼い頃よりアニメや特撮に興味を持ち高校生では美術部長を務め圧倒的な画力があったそうです。大阪芸術大学映像計画学科でアニメの世界に触れ、自主制作映画を作っています。そのスタッフは後にガイナックスの主要メンバーとなっています。様々な劇場アニメの作画に携わり、『風の谷のナウシカ』の巨神兵のシーンの担当をしています。1988年『トップをねらえ!』で商業映画初監督をし、1997年には「新世紀エヴァンゲリオン」で社会現象にもなる作品を作り出しています。実写作品も制作しており、非常にこだわりの高い監督です。

・本シリーズは4部構成と言われており、4作目は、その「序破急」の流れに当てはまらないところになります。

・題名も「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 」となっており、微妙に今までの名称と異なるところがあります。

・サブタイトルは、「Thrice Upon A Time」となっており、ジェイムズ・P・ホーガンの長編SF小説『未来からのホットライン』の原題と同名となっています。

・最後にある記号は、楽譜の反復記号とも判断でき、繰り返しを意味していることが予測されています。つまり、エヴァンゲリオンの物語がループしているということを示唆しているらしいです。

・物語は、世界規模の大災害「セカンドインパクト」「ニア サードインパクト」の後の世界となっており、詳しい内容は特に説明がありません。

・序盤はすでに先行して公開されているパリでの「L結界」の封印を解く作戦が描かれます。

・マリの乗る8号機βで応戦が始まり、すでにエヴァ対使徒と言う構図ではなく、ヴィレ対ネルフで戦っていることがわかります。

・上空から糸で釣っているかのような演出がされていますが、特撮で戦っていると言うことの暗示かと思われます。

・ここでの音楽が秀逸で、以前から使われている曲のアコースティックな感じでの曲でとても良い曲です。

・マシンガンを連射することで銃身が焼けてしまうと言う演出もあり、コレもリアルにマシンガンを連射すると熱をかなり発生することであり、芸が細かいです。

・庵野監督の過去の作品「不思議の海のナディア」でのパリでの戦闘を本作でもまた違った手法で描いています。

・対するネルフ自体も多数の亜流なエヴァンゲリオンで対抗してくるところもあり、生産力の疑問もありますが、そんなことは気にしなくて良いです。コレは「アニメーション」です。

・その後、オープニングシークエンス以降、第三村と呼ばれる場所での残された人々の生活が描かれます。

・実際に2作目の「波」から14年経過した世界となっており、要塞都市だった新第三東京市とは違った世界観で、観ている側としては戸惑いも感じますが、本作のテーマとしての「生活していく」と言う要素が描かれます。

・かなり暗示的な要素はありますが、挨拶やおやすみの際の言葉の意味をサラッと描いたところに、人と人との繋がりを描いているように思います。

・人類補完計画と言う計画の根本的な考えや、ATフィールドの意味合いも含め、設定と言う要素で描ききるよりも、普遍的に近い要素で、その社会の形成や人との関わりをメッセージとしているように見えます。

・主人公 シンジの人との関わりの拒絶も、根本的な生活ということに立ち返らせることで、もう一度自分がやってきたことを見直させるようなところもでもあります。

・その立ち直りは、状況に迫られる手法ではなく、他人がどう見てくれていて、自分がどう関わっていくのかと言う自然な流れでの立ち直りなので、この生きていく上での関係性は、村と言う小さなコミュニティでこそ得られたことなのかもしれません。

・旧劇場版では、このような落ち着いて見直すと言うシンジの考えがなかったので、精神的に緩やかな持ち直しをしているところは今までのエヴァンゲリオンの描かれ方とはちょっと違った視点があります。

・その後、ファイナルインパクトを阻止するために闘いが繰り広げられますが、旧劇場版の闘い方とも違い、闘いの中でそれだけでは解決しないと言う気づきも見えてきます。

・多数のエヴァンゲリオンと父親ゲンドウとの対立も描かれ、ザックリ言ってしまえば、壮大な親子喧嘩となっていきます。

・父親 ゲンドウが何を思って起こしたことなのかも明確となり、今までのエヴァンゲリオンではなかった展開で決戦が描かれていきます。

・徐々に世界が演劇的な要素も含まれてくることで、若干わかりにくい点もあるかと思いますが、シンプルに「コレはアニメである」と言うことを理解させる一つの手法だったと思います。

・そう言う点では、旧劇場版と近しいメッセージ性ではありますが、唯一違うところは、相手を理解し、自分自身もそれを寛大に受け入れることで、物事を解決していきます。

・エヴァンゲリオンの描き方では、現実と創作と言う区切り伝えつつ、それをどう解釈し、自ら自身が何を感じるかと言うところは、旧劇場版も本シリーズも変わらずなところに思います。

・たしかにロボットアニメとして必要なメッセージ性かと言われると難しいところでもありますが、以前より「伝説巨神イデオン」「機動戦士ガンダム」など、ロボットアニメをモチーフにしながらも、ドラマとしてのメッセージ性があり、アクション娯楽エンターテイメントとは異なるところがあります。

・締めくくり方は、当時「卒業式」と呼ばれたこともあり、今までのエヴァンゲリオンを総括して、その先に進むべき道を示している作品とも言えます。

・155分という長時間であり、140分を超える映画は非常に少ないため、気軽に観る作品ではありませんが、四半世紀にわたるアニメシリーズの完結編としては、非常に作り込まれた作品を素直にまとめあげた名作かと思います。

 

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