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【アニメ】「竜とそばかすの姫〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】細田守 
【出演】中村佳穂/成田凌/染谷将太/玉城ティナ/幾田りら/森川智之/津田健次郎/小山茉美/宮野真守/森山良子/清水ミチコ/坂本冬美/岩崎良美/中尾幸世/佐藤健/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】過疎化の進む高知の田舎町が舞台。主人公 すずは、幼い頃に母親を亡くし、父と2人で暮らしている女子高生。全世界で50億人以上が集う仮想世界「U」で「ベル」というアバターで参加し始め、そこで、ベルは歌うことで注目をされていく。

 

 

竜とそばかすの姫

竜とそばかすの姫

  • 細田守
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・細田守監督は、中学時代に劇場版『銀河鉄道999』や『ルパン三世 カリオストロの城』に影響を受け、アニメーターを目指し、スタジオジブリには採用されなかったものの、東映動画で原画や演出に携わり、1999年『劇場版デジモンアドベンチャー』で監督に抜擢され、2000年『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』で高い評価を得ています。その後、2005年『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』を制作し、フリーの演出家となります。2006年『時をかける少女』2009年『サマーウォーズ』を制作し、ヒットを飛ばしています。その後は、スタジオ地図を設立し、コンスタントな映画製作に取り組んでいます。

・中村佳穂は、20歳より本格的な音楽活動を始め、京都を中心に音楽活動をしています。2014年自主制作映画「家路 On The Way Home」で主題歌等を担当し、2021年『竜とそばかすの姫』では、主人公の声と劇中歌を担当しています。

・成田凌は、『MEN'S NON-NO』のモデルとして活躍以後、TVや映画でも出演するようになり、若手として着実なキャリアを積んでいます。

・染谷将太は、子役から役者としてデビューしており、映画を主軸として役者をしています。なお、2015年1月1日に菊地凛子と結婚しています。

・細田守監督による長編オリジナル作品第6作となります。

・第74回カンヌ国際映画祭で「カンヌ・プルミエール」部門にてワールドプレミア上映されています。

・物語は、主人公の女子高生が現実の世界で心を閉ざしてしまい、仮想世界でアバターを通じて他人と接して行くことで、自分自身を見つめ直していくストーリーです。

・序盤から、すずの高校での生活や、仮想空間Uの世界とのつながりで、「Bell」というキャラクターを作り出すことが描かれます。

・「サマーウォーズ」でもすでにアバターということで、現実とインターネットの世界の繋がりを描いていましたが、本作も同様にその世界が描かれます。

・すずとBelleの関係としては、現実と仮想空間おギャップがあることで、すず自体の存在価値を見出すわけですが、そのきっかけは音楽であります。

・この音楽が良いという根拠は特に描かれていません。

・なお、「Belle」はフランス語では「美しい」という意味のようです。

・「あなたは、だれ?」

・仮想空間と現実世界の関わり合いを描いた作品は、細田守監督作品では、結構多めですが、本作もまた、似たような環境構築がされています。

・駄目なことではないのですが、世界の構築がいずれも同じ雰囲気と世界観があるので、さすがに食傷気味に思います。

・むしろ、何でもできるような仮想空間の世界なので、ご都合的な雰囲気は否定できないです。

・また、SNSのめんどくさい点が描かれており、ネットの炎上をゲーム感覚で表現しているところがあります。

・主人公 すずのキャラクター自体は、「時をかける少女」の真琴とは異なるところでもあり、どうも、気持ちよさがないので、のめりこみにくいところはあります。

・中盤まで、感情移入の先が見当たらないのもそういう事かもしれません。

・前半は、主人公の存在する場所を示し、存在価値を自認していく展開となっています。

・竜の抱えている問題が、仮想空間ではなく現実に存在しており、そのことからのフラストレーションの捌け口にもなっている場所が仮想空間というところに安易さを感じてしまうところはあります。

・「たすける?どうやって?」

・現実で起こっていることを仮想現実の空間を通じて、現実世界に問いかけるという、文章にすると「ちょっと何を言っているのかわからない」ように思えますが、一見複雑そうに見えて、やっていることは普通にシンプルなことではあります。

・「全部ゼロになっちゃうんだよ」

・この発言については、まったく共感できません。ゼロにはならないわけで、仮想現実と現実のつながりが別問題ということを肯定していることになりますが、この発想がある以上、心ない無責任な言動がネット上で起こっているとも言えます。

・感動するかどうかで言えば、音楽で感動できるところはありますが、ストーリーや行動で心動かされる要素がちょっと弱い気もします。

・本作が痛快な作品となっていないのは、問題の根源が特定の人物となってしまっていることで、「サマーウォーズ」のときのように戦う相手が明確ながらも、誰も傷つける要素がないところがよかったのですが、本作は傷ついてしまう対象が少なからずとも存在してしまっていることがあります。

・そういう点では、感情移入する先が多少限られながらも、その限られた対象には深く刺さる内容かと思います。そのため、賛否が生まれてしまうのは当然の事かもしれません。

・序盤と最後では、すずのキャラクターの成長が見られますが、成長したとはいえ、ちょっと感情の表し方が極端かなぁとは思います。

・作品としては、細田守演出と画面の見やすさという点で良いのかと思いますが、物語のメッセージ性としては、その対象が存在してしまっている点より、重くなってしまった印象があるところがちょっともったいなかったきもします。

 

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