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様々な作品・商品をカジョウ書き(箇条書き)にて紹介します。

【日本映画】「シン・ウルトラマン〔2022〕」を観ての感想・レビュー

 

【監督】樋口真嗣



【出演】斎藤工/長澤まさみ/有岡大貴/早見あかり/田中哲司/西島秀俊/山本耕史/岩松了/長塚圭史/嶋田久作/益岡徹/山崎一/和田聰宏/

【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】「禍威獣(カイジュウ)」という巨大生物が現れるようになった日本が舞台。政府は「禍威獣特設対策室専従班」=通称「禍特対(カトクタイ)」を設立し、禍威獣と戦う。

 

shin-ultraman.jp

 

・樋口真嗣監督は、高校卒業後に、ゴジラの怪獣造形の携わり、映画業界に入っています。その後、1984年『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で助監督を務め、様々な特撮に関わっています。2005年「ローレライ」で大作映画に関わり、以後、「日本沈没」「隠し砦の三悪人」など話題作を監督しています。

・齊藤工は、高校時代よりモデルとして活動をし、2001年「時の香り〜リメンバー・ミー」で俳優デビューをしています。2012年には「サクライロ」で監督デビューをしており、2017年「blank13」では、第20回上海国際映画祭でアジア新人賞部門最優秀監督賞を受賞しています。

・長澤まさみは、東宝「シンデレラ」オーディションで史上最年少の12歳でグランプリを獲得し、その後、映画『クロスファイア』で映画デビューしています。ティーン雑誌『ピチレモン』の専属モデルとしても活躍し、2004年『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロイン役としても話題となり、多彩な演技で注目されている女優です。

・キャッチコピーは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」と「空想と浪漫。そして、友情。」です。

・「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」(SJHU)の3作目となり、「シン・ゴジラ 」「シン・エヴァンゲリオン劇場版 」「シン・ウルトラマン 」となっています。なお、4作目は、「シン・仮面ライダー 」です。

・物語は、禍威獣と呼ばれる巨大生物と戦うため禍特対が設立され、禍威獣と戦うストーリーです。

・序盤から、禍特対の設立までの禍威獣が登場するシーンを矢継ぎ早に描いていき、禍特対の人員構成や影響力をサクッと描いていきます。

・なお、オープニングのタイトル表示も、もともとのウルトラマンのオマージュになっており、シン・ゴジラと出るは、「SJHU」の関連と、もともとこんな感じでの「ウルトラQ」からのタイトルとなります。

・シン・ウルトラマン自体は、オマージュが多数込められた作品でもあります。

・もともとのウルトラマンを知っている人はどのくらいの思い入れがあるかによって、本作の感想が変わってしまうのかもしれません。

・また、シン・ゴジラのイメージで本作を観るのもちょっと違うのかもしれません。それは、もともとのウルトラマン自体、毎回怪獣や宇宙人と対決する作品ではありますが、戦い方自体には多くの工夫があり、人間サイズの状態での怪獣等も登場することがあり、よく知られている巨大なウルトラマンが戦うだけにとどまらないところがあります。

・また、オマージュと言う点では、はじめに登場したウルトラマンの口元に注目であり、3タイプ存在していたウルトラマンの顔の初代の顔をしています。その後、顔の造形は「Cタイプ」に変わりますので、再度鑑賞する際には注意して観るとよいです。

・さらに、ウルトラマンのカラータイマーはついていない代わりに、シルバー、レッド、グリーンと、体の模様の色が変わります。

・脚本は庵野秀明が担当しており、シン・ゴジラ同様に「難しい言葉を羅列する」手法ではありますが、その一辺倒ではなく、「ヤバい」「いいんじゃないですか?」等、妙に軽くあしらうような言い回しもされています。

・これはウルトラマン自体のオマージュ色の強い作品であり、新たに再構築したというよりも、当時のウルトラマンに対する製作者の愛情が込められた作品でもあるので、その愛情表現に相容れない人にはおすすめできない作品ではあります。

・「都度、気合を入れるために長澤まさみがお尻をたたく」「妙に顔のアップが多い」「顔のメイクがかなり濃い(ほとんどの人の顔のドーランが濃い)」といろいろと言いたいところはありますが、これは制作者の趣味だと思います。趣味を取り入れながら、原作にオマージュを捧げていると解釈するのが良いです。

・撮影カットやアングルも妙なアングルが多く、違和感のある位置からの撮影が多いですが、この点については、製作者の趣味とウルトラマンの異様さのどちらも込められていると思います。

・実相寺昭雄演出のオマージュとも受け取れます。

・さまざまな事件と怪獣や外星人の襲来が描かれていますが、ほとんどはもともとのウルトラマンにある話を踏襲しているので、本作が突飛なわけではなく、もともとのウルトラマンの意外な設定と物語構成が、本作の主軸となっています。

・特にメフィラス星人は本作を象徴する印象もあり、ウルトラマンの作品自体が、「戦うだけでなく、異様な星人との対話」というところも忘れてはいけないところだと思います。

・そういう意味では、バルタン星人には登場してもらいたかったところはあります。

・終盤、ゾフィーならぬ、「ゾーフィ」が登場しますが、この点についてはマニアックすぎるオマージュとなっており、当時の書籍に誤植として「宇宙人ゾーフィ」が書かれており、ここには宇宙恐竜ゼットンを操るとなっているネタが使われています。

・もともとのウルトラマンは、人類の叡智で宿敵を倒すという描かれ方であり、本作でも、それは踏襲されています。

・中盤以降、脚本が雑な印象を持ちますが、とはいえ、たった2時間で「空想科学シリーズ ウルトラマン」とは何だったのかということもある程度描いており、初代ウルトラマンの制作意義もなぞらえているのかと思います。

・怪獣や外星人と戦うだけでなく、異なる考えを持つ外星人の存在をしっかり示している点では、きっちりとオマージュとなっています。

・賛否の分かれる作品ではありますが、初代ウルトラマンにどの程度愛着があったかということと、その愛情表現の方向性が一致しているという人には高評価かと思われ、当時のウルトラマンを知らない人には、小難しい印象を受けながらも、これはこれで楽しめるとは思います。

・リアリティをもたせながらも、特撮というところを優先する演出でもあり、物理法則を無視した感じもありますが、そもそも「ウルトラマン」は子供が楽しんでみていた円谷プロの空想特撮シリーズであり、戦うだけにとどまらないところはしっかりと意識しておくほうがよいです。

・なお、監督は樋口真嗣であり、庵野秀明ではありません。誤解なきよう鑑賞ください。

 

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【今週公開の新作映画】「メタモルフォーゼの縁側〔2022〕」が気になる。



【監督】狩山俊輔
【出演】芦田愛菜/宮本信子/高橋恭平/古川琴音/汐谷友希/伊東妙子/菊池和澄/大岡周太朗/生田智子/光石研/

 

【あらすじ】主人公 うららは、毎晩ボーイズラブ漫画を楽しんでいる女子高生。ある日、うららのアルバイト先の本屋に夫に先立たれひっそりと暮らしている75歳の雪が訪れる。ボーイズラブの本を手にした雪はその新しい世界に驚きつつも、その世界に魅了され、うららとともに交流を深めていく。
 

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 ・狩山俊輔監督は、ドラマや映画の演出を行っており、2010年「Q10」、2013年「泣くな、はらちゃん」、2016「奇跡の人」など話題作を多く手掛けています。

 ・芦田愛菜は、母親に進められ、3歳より芸能界デビューをしています。2011年「マルモのおきて」で人気となり、以降様々なメディアに登場しながらも、難関校でもある慶應義塾中等部に入学しています。

 ・宮本信子は、1964年に劇団青俳に入団し、その後、フリーの俳優となります。1967年「日本春歌考」で映画デビューをし、その共演で伊丹十三と結婚をしています。1984年「お葬式」で評価され、その後、伊丹十三監督作品のすべてに出演をし、独特の存在感のある女優として活動しています。1997年に伊丹十三の死別を期にジャズシンガーとしても活動をし、伊丹十三の死後、映画界から遠ざかっていたものの、2007年『眉山-びざん-』で復帰をし、以降、幅広い活動をしている女優です。

 ・岡田惠和は、フリーライターとして活躍後、1990年「ドラマチック22 香港から来た女」で脚本家としてデビューしています。以降、テレビドラマの脚本を多く手掛け人気となります。

 ・原作は、鶴谷香央理の漫画「メタモルフォーゼの縁側」となっています。

 ・脚本は、岡田惠和が手掛けています。

 ・物語は、ボーイズラブ漫画の好きな主人公が働く本屋に訪れた老女が、ボーイズラブの世界に触れ、その世界に魅了されながらも、2人が交流を深めていくストーリーです。

 ・作品の中で登場するボーイズラブ漫画は、 「君のことだけ見ていたい」という作品で、作画は「じゃのめ」が行っています。

 ・58歳の年齢差がありながらも、親友のような関係で描かれており、漫画を共通点としながらも、世代を超えた交流がどのようなところとなるか気になります。

 ・ボーイズラブ自体はすでにある程度の世間的認知はありますが、その魅力などについて広い共感が得られるのかも気になるところです。

 

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・個人的に勝手に思う関連作品

 

 

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【iTunes Store】「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (字幕/吹替)」Essentials



【監督】ピーター・ジャクソン
【出演】イライ・ジャウッド/イアン・マッケラン/ヴィゴ・モーテンセン/ショーン・アスティン/オーランド・ブルーム/リヴ・タイラー

【あらすじ】邪悪な指輪を滅びの山に捨てるため、旅の仲間を結成し、そのストーリーは始まった。そして出会いと別れ、壮絶な戦いを経て・・・。フロドは指輪を滅びの山の亀裂に捨てることが出来るのか?冥王サウロンが率いる20万もの軍との最後の戦いは?旅の仲間たちはもう一度めぐり会えるのか?愛と友情と裏切り、失われる尊い命・・・壮大な旅が終わる時、ここにすべての冒険が完結する・・・。

 

 

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (字幕/吹替)

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (字幕/吹替)

  • Peter Jackson
  • アクション/アドベンチャー
  • ¥611

 


・iTunes Storeの期間限定の価格のおすすめムービーです。

・「Essentials」として選ばれています。

・期間限定価格なので、期間後は通常価格になります。

・期間中は、407円でレンタルできます。

・期間中は、611円で購入ができます。

・限定価格期間は、記載されていないので、予告なく終了する場合があります。

・レンタルしてから30日間視聴を開始できます。視聴後は48時間以内に視聴する必要があります。

 

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【iTunes Store】「ワタシが私を見つけるまで(字幕版)」今週の映画



【監督】クリスティアン・ディッター 
【出演】ダコタ・ジョンソン/レベル・ウィルソン/レスリー・マン/

 

【あらすじ】シングルでいるのもラクじゃない。恋人は途切れたことがないが、ひとりでは背中のジッパーすら上げられない主人公アリス。シングル・ライフを謳歌し毎晩パーティー三昧な親友ロビン。仕事に打ち込み恋愛を避けてきた産婦人科医メグなど様々な“おひとり様”が登場。眠らない街ニューヨークで、遊びまわるだけでは決して満たされることのない独身女性の葛藤をユーモアを交え軽快に描き出す。

 

 

ワタシが私を見つけるまで(字幕版)

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  • クリスティアン・ディッター
  • コメディ
  • ¥713

 

 

・iTunes Storeのエディターが選んだおすすめの1本

・期間中は、102円でレンタルできます。

・期間中は、713円で購入ができます。

・標準画質(SD)と高画質(HD)のいづれかで観られます。

・102円レンタルができる期間は「2022年6月21日(火)」までです。

・レンタルしてから30日間視聴を開始できます。視聴後は48時間以内に視聴する必要があります。

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【日本映画】「草の響き〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】斎藤久志 
【出演】東出昌大/奈緒/大東駿介/Kaya/林裕太/三根有葵/利重剛/クノ真季子/室井滋/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 和雄は、心に失調をきたし治療のために妻 純子とともに函館でひっそりとリハビリをしながらも、そこで出会った人たちとの交流を始まる。

 

 

草の響き

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  • 東出昌大
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・斎藤久志監督は、1985年『うしろあたま』の自主製作映画でぴあフィルムフェスティバルに入選し、1986年「はいかぶり姫物語」で監督デビューをしています。脚本も手掛けることもあり、コンスタントに作品を作り上げている監督です。

・東出昌大は、高校時代に第19回メンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリで受賞し、芸能界に入ります。モデルとして活躍後、2012年『桐島、部活やめるってよ』で映画デビューをし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。2013年NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』『ごちそうさん』に出演し、『ごちそうさん』で共演した女優の杏と結婚していますが、後に離婚をしています。2014年『クローズEXPLODE』で映画初主演をし、以降、『菊とギロチン』『寝ても覚めても』等で評価されています。不倫報道により一時期低迷していましたが、現在はフリーの俳優として再起しています。

・奈緒は、高校1年のときに地元福岡でスカウトされ、芸能活動を開始しています。2013年にテレビドラマに初出演し、2016年『雨女』で映画初出演をしています。2017年までは、本田なおで活動をしていましたが、姓名判断より本名の「奈緒」と芸名を変更して以来、仕事が増えたとのことです。2019年『のの湯』では、テレビドラマ初主演を努めています。尊敬する女優は田中裕子。

・物語は、精神的な心の病により精神失調をした主人公が、妻とともに函館の田舎で生活しながらも、そこで出会った人たちとの交流を描いたストーリーです。

・序盤から、日々ジョギングをして心の平静を取り戻そうとする主人公が描かれます。

・なんとなく、東出昌大の実生活とシンクロするような印象を受けますが、その点も含めて、妙にリアリティを感じてしまいます。

・ですが、私生活と本作との関連はないとは思います。

・洗濯物を取り込みかどうかのところでも、言いたいことはよくわかります。

・妻 純子役の奈緒は、夫を支えている生活をしていますが、この感情の拠り所はちょっとわかりにくいところもあり、純子の精神的な意識がどうなるのかも気になところではあります。

・スケボーをしている少年たちと、和雄の関係性は、いまいちわかりにくいです。

・「おい、お前、女出来たからって、調子乗ってんじゃねえぞ」

・学生たちの物語と和雄の物語は、微妙に関わり合いながらも、和雄自身の昔の話とも思え、妙な暗喩が込められている気もします。

・「言ってもどうにもならないことだから、怒ってるのはそっちでしょ」

・「カズくんは幸せじゃないの?」

・主人公はあくまで和雄なんですが、カズオに感情移入することがちょっとむずかしいところがあり、むしろ、純子から見た和雄の行動を考えると、純子に感情移入する物語なのかもしれません。

・でもそれもまた読み取りにくいところではあり、どのキャラクターも皆、壁があるように感じます。

・終盤ちょっと演出上わからないシーンがありますが、後々何をしているのかがわかります。

・「本当は、結婚なんてしたくなかった?子供なんていらなかった?」

・ 和雄と純子の談話室での会話にどういうところに感情をおいていいのかわからなくなります。

・このシーンは対話をしていながらも、途中から2人が同じフレームには入らず、各々のカメラ目線で対話がされ、和雄に関しては、カメラ目線すらできないところがあります。

・病院を出ていくシーンでも、その意図がどういうことなのかも、振る舞いだけで示しているところがあります。

・「東京にフェリーで帰る」というのをさらっと描いていますが、これにはこれでやはりしっかりと描いていないながらも、意味があります。

・この終わり方を肯定していいのかどうかがちょっと判断つきません。

・観た人によって感じ方の変わる作品ではありますが、自分自身にもこういう心の病に侵される可能性もあり、そのときにはまた違った感じ方をする作品なのかもしれません。

 

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草の響き[DVD]

 

草の響き

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【洋画】「バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ〔2022〕」を観ての感想・レビュー



【監督】ヨハネス・ロバーツ
【出演】カヤ・スコデラリオ/ロビー・アメル/ハナ・ジョン=カーメン/アヴァン・ジョーギア/トム・ホッパー/リリー・ガオ/ニール・マクドノー/ドナル・ローグ/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 クレア・レッドフィールドは、巨大複合企業「アンブレラ社」の拠点があるラクーンシティで育った女性。とある警告メッセージを受け取ったクレアは、ラクーン市警の刑事の兄クリスを尋ねるが、特に大きな問題がなかった。しかし、ラクーンシティの住民にとある変化が起こっていた。

 

 

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(字幕/吹替)

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  • Johannes Roberts
  • アクション/アドベンチャー
  • ¥2037

 

 

・ヨハネス・ロバーツ監督は、イギリスの監督で、2001年『Sanitarium』で長編映画デビューをしています。その後、2010年『F エフ』で低予算ながらも評判となり、2017年「海底47m」でも全編水中の作品ながら、低予算で評判となっています。なお、2019年『海底47m 古代マヤの死の迷宮』で続編を制作しており全米トップ10となる記録をしています。

・カヤ・スコデラリオは、2009年「月に囚われた男」で映画デビューをし、2014年「メイズ・ランナー」でハリウッドデビューをしたイギリスの女優です。

・物語は、主人公のもとに届いたメッセージより、ラクーンシティを訪れるが、そこで、巨大複合企業「アンブレラ社」の陰謀に巻き込まれていくストーリーです。

・序盤から、ちょっとしたサスペンス風の展開となっており、ホラーアクション映画のバイオハザードという印象は若干弱い感じがします。

・「かゆうま」についてはしっかり再現されていますが、なんとなく、そうじゃないんだよなぁという気はします。

・ラクーンシティに訪れてから徐々にバイオハザード的な展開となり、ゾンビの登場もしっかりと意識できるようになります。

・中盤であの初代バイオハザードの舞台となった洋館がでてきます。

・設定等もわかりやすいところとなるので、初代バイオハザードを一度プレイしておくと良いです。

・使っているハンドヘルドデバイスが、「PalmPilot」ではあります。稼働している時点でかなりすごいなぁとも思います。

・序盤の展開は、どちらかといえば、世界観を示す説明な要素もあり、登場人物の背景がわかることで、中盤以降のゲームの設定との関わりあいが明確になるので、これはこれで良いところです。

・ミラ・ジョヴォヴィッチ主演のバイオハザードよりもゲームに忠実なところとなるので、ゾンビ自体のゾンビらしさはさほど常軌を逸していないところは良いです。

・ザッピングで複数の物語が同時進行で描かれますが、各キャラクターは区別もつきやすくわかりやすいとは思います。

・リッカーらしきゾンビも登場し、当然CGは使っているのですが、人型のゾンビ的なキャラクター程度で留まっていたゲーム同様に、いかにも強そうで気持ち悪いという方向性の造形ではないところもよいです。

・というか、バイオハザード3以降はゾンビというよりもクリーチャー的な要素が強くなってしまうので、本作は、そこまでの怪物感もないので、しっかりと映画のような感じで観られます。

・もともと映画的演出を目指したゲームの1作目が、映画化されるという原点回帰的なところもあり、刺激的なアクションや造形に頼ることなく作られているところには監督の良心を感じます。

・続編も作られそうな印象のある作品ですが、ゲームのバイオハザード自体が完結するようなことにはなっていないので、続編を制作するのもなかなか難儀なところはありますが、それでも、映画を目指したゲームの映画化というところに、なにか意義を感じるように思います。

 

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【日本映画】「空白〔2021〕」を観ての感想・レビュー

【監督】𠮷田恵輔
【出演】古田新太/松坂桃李/田畑智子/藤原季節/趣里/伊東蒼/片岡礼子/寺島しのぶ/
【個人的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】主人公 充は、中学生の娘 花音の父親。ある日、花音がスーパーで万引をしようとしたところで、店長に見つかり、追いかけられた挙げ句、車に惹かれて死んでしまう。娘の無実を証明しようとするが、事態は徐々にかわっていく。

 

 

空白

空白

  • 吉田恵輔
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・𠮷田恵輔監督は、学生時代から自主映画を制作し、2006年『なま夏』で映画監督デビューをしています。2008年に小説『純喫茶磯辺』を発表し、映画化も行っています。「ヒメアノ~ル」「犬猿」「純喫茶磯辺」を制作しており、独特の世界観と演出に定評があります。

・古田新太は、1984年『劇団☆新感線』に参加するも、渡辺いっけいと筧利夫が脱退したことで人気が減少し、テレビの深夜コント番組等に出演するようになる。その後、「夢の遊眠社」「第三舞台」の演劇に出演するようになり、TVドラマや映画へと活動の幅を広げています。

・松坂桃李は、2008年にオーディションでグランプリを受賞し、『FINEBOYS』専属モデルで芸能活動、その後、2009年『侍戦隊シンケンジャー』でテレビドラマ初主演をし、多数のテレビや映画に出演しています。

・キャッチコピーは「空っぽの世界に、光はあるか。」

・本作で、古田新太は、『台風一家』以来、7年ぶりの映画主演作となります。

・物語は、とある中学生が万引をしてしまい、逃走時に車に轢かれ死亡し、その父親が娘の無実の証明をしていくストーリーです。

・序盤から、娘の花音の暮らしが描かれ、父親の充もちょっと横柄なところもあるキャラクターで描かれます。

・工事中の道路を無理矢理通ろうとするところは、意外な伏線ともなっています。

・花音自身も、学校でどのような立ち位置にいたのかというのも描かれ、家でも、別れた母親とも自分の居場所を探すようなところがあります。

・花音自身の内面はギリギリわかるようなわからないような、そんなところがあります。

・父と娘の2人暮らしをしているところの説明がないのが、ちょっとわからないのですが、離婚をした母が親権を持たなかったところはちょっとわかりません。

・物語の発端はシンプルな話のように見えますが、その事件の特殊なところで、視点が父親の行動になっているように思われます。

・娘が事故にあってしまうことで物語が変わり始めますが、事故のシーンが凄惨すぎるところもあり、このインパクトは、様々な人に深い影を落とします。

・当然、現場にいなかった人物にはなおのことで、その事件の経緯が人により事実が湾曲してくるところもあり、この点が本作の興味深いところです。

・芥川龍之介の小説「羅生門」のような印象も受けますが、そこまで湾曲した状況までは生まれません。

・娘の惨劇を充は事後で見ているため、そこまでに至る経緯を正確に知ろうとします。

・ただし、充に性格もあり、多少剛腕な感じで、事実を自分の理想のように進めようとします。

・この点は共感しづらい点もありますが、その現場に居なかったという点と、不器用だったために娘との意思疎通がうまく伝わってなかったことがあります。

・「俺、正直、充さんが親だったらキツイっす」

・仕事仲間からもこう言われてしまうのはちょっと厳しいとも思いますが、そういう生き方をしてきた充は仕方のないところかもしれません。

・「透明だったって」

・これにはちょっとドキッとします。

・物語は、死亡した花音を中心に「父親」「スーパーの店長」「自動車を運転していた女性」「学校の先生」と主体となる視点があり、それぞれが被害者であり加害者でもあるというやりきれないところが充満しています。

・「今になって被害者ぶるのはズルいですよ」

・本作の面白いところは、とある事件が発端となっていながらも、その事件の被害者と加害者の立場がそれぞれの状況により、都度変わっていくところにあります。

・「俺の言い分は聞かないのか?」

・この被害者と加害者の立場というのはどちらも正義のようにもみえ、状況によっては、急に窮地となってしまうところもあり、本作のメッセージ性を感じるところにもなります。

・のり弁当を買ったのに、特製のり弁当ではなかったことに対して、急に切れてしまう点もあり、店長も神経的に病んでしまうのは、見ていても辛い感じがします。

・そこから、展開が変わりはじめ、スーパーの店長のメンタル自体も変わり、事故の被害者家族も、そして、とばっちりを受けてしまったドライバーもそれぞれの視点から見れば、いずれも正義であり、誰しも加害者であるような印象を受けます。

・「だめだよ、正しいことは正しいって伝えていかないと。」

・「正しいとか、正義の強要は苦痛でしかないんですよ」

・スーパーの店長を続けてきただけなのに、突然の事件と社会の視線に巻き込まれてしまったところにも店長のやりきれない、行き場のない思いがあり、観ていてキリキリします。

・「許せないのは自分自身のくせに」

・別れた妻はどの視点からもちょっと一歩おいたところから指摘をしているところがあり、このバランスが絶妙ではありますが、とはいえ、それもまた一つの視点ではないように思えます。

・最終的には行き場のない気持ちが残ってしまう作品ではありますが、主観ではなく、客観を考えることのできる良作ではあります。

 

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空白

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「空白」DVD

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