【監督】アルフォンソ・キュアロン
【出演】サンドラ・ブロック/ジョージ・クルーニー
【個人的評価】★★★★★
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】宇宙での活動に初めて参加するライアン・ストーン博士は、宇宙空間での船外活動を行なっている際にデブリ(宇宙ゴミ)に巻き込まれ、宇宙空間での壮絶な極限状態を体験する。
- 実は初見はDVDである。
- この映画こそ映画館の大画面で見たかった。
- 登場人物が基本的2人しかいない割にセリフがとても計算されており、飽きさせる要素はない。
- 冒頭17分間はワンカットで撮影されたような映像で、デブリによるシャトルの破壊の壮絶さと平衡感覚を失うほどの映像は素晴らしいの一言。
- 多分要所要所でカットをつないでいるのだろうと思われるのですが、つないだ部分はわかりにくい。
- 無重力という表現は映画では使われることも多く、古くは「2001年宇宙の旅」でも表現されていますが、この作品の表現も負けていない。
- アポロ11号で実際の宇宙飛行士だった人の感想からも、非常によく出来た表現だと言われている。
- ただし、片手でハンドレールを掴んだり、ロープを掴むのは無理らしい。さらにISSでの火災もあれほど派手には起こらないように、火気には厳重な制限があると言われている。
- そんなことよりも、これは映画です。
- 多少の虚構があるからこその映画でもあると思う。
- デブリによる事故の序盤からISSへの移動、そしてソユーズ、天宮へと大移動をしていますが、映画だからこそ、これだけのことを90分でできるのである。いいじゃない。
- 序盤を過ぎると、今度は酸素の欠乏問題。
- これも色々と極限感を感じる。なにせ、宇宙服の外は人間は生きていけない世界。身動きすらままならない状態で窒息をしてしまう恐怖感。この演出はとても凄い。
- 見ている方も呼吸を抑えてしまう。これも、実は序盤のトラブルの緊張感を解きほぐす演出と考えるととてもよく出来ている。
- 瞬間瞬間の恐怖感とじわじわと迫る恐怖感。このコントラストを構成しただけで、もう間違いなく傑作を匂わせる。
- ISSからソユーズのくだりも絶望と希望の相反。この対比も素晴らしい。
- 個人的にジョージクルーニーのキャラクターはとても魅力的で、当初ロバートダウニーJrの予定だったらしいキャスティングも結果的にはジョージクルーニー以外ありえないとも思う。
- ジョージクルーニーの軽口キャラクターは、時にふざけて、時に真実があり、とても重い。
- この重さは、軽さがある会話があるからこそ生きる。これもコントラスト。
- 天宮から大気圏再突入も生と死の狭間。たった一つのある道具での宇宙遊泳をすることはかなり映画的虚構ではありながら、これはもう観客と彼女が一体となった現実かもしれない。
- 最後の地上への生還。こちらも無重力と重力の相反。特に水辺から這い上がった時の重量感は主人公と一体化したかのような脱力感があり、ここまで体感させる演出は見事に尽きる。
- 原題は「gravity」となり、ゼロはつかない。
- 題名に賛否はあるけど、個人的にはこれも対比であると考えると一貫したコントラストを仕込んであることに名作と言わざるを得ないですね。