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【日本映画】「Daughters〔2020〕」を観ての感想・レビュー

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【監督】津田肇
【出演】三吉彩花/阿部純子/黒谷友香/大方斐紗子/鶴見辰吾/大塚寧々/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 小春は、彩乃という27歳の同い年の女性とルームシェアをして生活している女性。ライフスタイルが似ていることもあり、意気投合をして日々を過ごしていたが、ある日突然、彩乃が妊娠をしてしまう。父親がわからないまま子供を産むことを決意する彩乃とそれを支える小春の物語。

 

 

 

 

・津田肇監督は、2015年にCHAMELEONS INC.を設立し、ファッションイベントを始めとしたイベントの演出や映像作品の監督を務めています。クラウドファンディングで資金を集め、2020年「Daughters」で長編監督デビューをしています。

・三吉彩花は、 小学生のことから、モデルとして活躍。その後、さくら学院の初期メンバーとして活動をし、Seventeenの専属モデルとなっています。映画『グッモーエビアン!』の演技が評価され、第67回毎日映画コンクールおよび第35回ヨコハマ映画祭で新人賞を受賞しています。

・阿部純子は、小学生のときにスカウトされ、モデルとして活躍をし、2010年『リアル鬼ごっこ2』で映画デビューをしています。2014年『2つ目の窓』で、第4回サハリン国際映画祭主演女優賞、第29回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞しています。テレビや映画で活躍の幅を広げている女優です。

・第23回上海国際映画祭・アジア新人賞部門選出作品

・物語は、主人公と同い年の女性とルームシェアをして生活していたが、ある日、相手が父親不明の子供を妊娠する。そのことで、生活観や人生観を見つめ直していくストーリーです。

・オープニングは、2人の住む部屋から2人の会話に始まり、そこからタイトルバックとなります。

・音楽は、chelmico「GREEN」となっています。

・映像的に非常にセンスのあるような、色調の統一された映像と様々な角度から撮影をしているので見た目に飽きないような感じになっています。

・タイトルにも使われているフォントも、個性的であり、こういうところもしっかりとデザインされています。

・変な言い方をすれば、デザインを撮影センスだけを観ていると、プロモーションビデオのようにも思えます。

・そもそも、監督の経歴から、映像のこだわりのある作品となるのは自然なことではあります。

・社会人になって落ち着き始める年齢の女性2人となるので、色々と楽しい生活になる時期ではあると思います。

・この2人の関係性もしっかりと描かれていないので、ちょっとモヤッとしますが、この関係性の程度に、東京 中目黒に住むという点と、女性が仕事に対する憧れという、フワッとした生活感があるのかと思います。

・「やっぱ気づいてた?」

・彩乃自身が妊娠をしてしまうことになりますが、そのことで、妊娠に関しての物語にシフトしていきます。

・つまり、生活環境が徐々に変化していくところでもあり、そのことで、ルームメイトの小春の理解も描かれていきます。

・一人で抱え込んでしまう問題にはならなかったことで、彩乃自身が孤独とならなかったことは良いのですが、彩乃がシングルマザーとして子供を育てていく決意をする説明がないところにこれまた、フワッとしたところを感じます。

・「この子がいつか知りたいって時がくるかもしれない」

・妊娠したことで、このルームシェアの生活も変わってくるわけで、飲食に関しても、選別した食事をしなくてはならないところも出てきます。

・「でも、元気に帰ってくるんで、席だけは開けといてください。」

・「もう自分ひとりだけの人生じゃないって気づいてよ」

・このあたりまで来ると、彩乃の子供を産み、社会とも関わりながら、現状を維持するという考えに、ちょっと違和感を感じます。

・女性の社会進出はわかりますが、上司も話しているように、ある程度、継続して仕事をしていかなければならない組織編成を組まなければならないのは当然のことです。

・この点は、女性の社会進出を否定するわけでもなく、企業という継続的な成り立ちには、継続して成立させていくだけの理由はあるわけで、一個人のエゴで、組織の生活を狂わすことも難しいわけです。

・そういう点で、女性としてどう思うかという点は、サラッと描かれているような気がします。

・「Daughters」という題名も、この2人の娘という意味合いでもあり、生まれてくる子供という意味もあるかもしれません。

・「その後みんながどうなっているのか、わからないけど」

・サラッとしたセリフではありますが、結構残酷な言葉でもあると感じます。

・パイナップル畑に行くシーンの最初のカットがとても違和感を感じますが、広角レンズで畑の広さを強調する演出が地味に入っています。

・「隣の人が他人じゃない」

・「隣の人が赤の他人のほうが優しくできるのかもね」

・この2人の女性を中心とした物語であり、映像は綿密に計算された作品ではありますが、肝心の子供を産む理由が希薄ではあり、この点はやはり夢物語な点を感じてしまいます。

・何が言いたいのかがちょっとわかりにくい作品でもありますが、映像の美しさと登場人物自体はシンプルでもあり、メッセージ的なところをあえてデザイン的センスで隠しているような気もする作品です。

 

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