ロクカジョウ [映画や商品を紹介]

様々な作品・商品をカジョウ書き(箇条書き)にて紹介します。

【日本映画】「空白〔2021〕」を観ての感想・レビュー

【監督】𠮷田恵輔
【出演】古田新太/松坂桃李/田畑智子/藤原季節/趣里/伊東蒼/片岡礼子/寺島しのぶ/
【個人的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】主人公 充は、中学生の娘 花音の父親。ある日、花音がスーパーで万引をしようとしたところで、店長に見つかり、追いかけられた挙げ句、車に惹かれて死んでしまう。娘の無実を証明しようとするが、事態は徐々にかわっていく。

 

 

空白

空白

  • 吉田恵輔
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・𠮷田恵輔監督は、学生時代から自主映画を制作し、2006年『なま夏』で映画監督デビューをしています。2008年に小説『純喫茶磯辺』を発表し、映画化も行っています。「ヒメアノ~ル」「犬猿」「純喫茶磯辺」を制作しており、独特の世界観と演出に定評があります。

・古田新太は、1984年『劇団☆新感線』に参加するも、渡辺いっけいと筧利夫が脱退したことで人気が減少し、テレビの深夜コント番組等に出演するようになる。その後、「夢の遊眠社」「第三舞台」の演劇に出演するようになり、TVドラマや映画へと活動の幅を広げています。

・松坂桃李は、2008年にオーディションでグランプリを受賞し、『FINEBOYS』専属モデルで芸能活動、その後、2009年『侍戦隊シンケンジャー』でテレビドラマ初主演をし、多数のテレビや映画に出演しています。

・キャッチコピーは「空っぽの世界に、光はあるか。」

・本作で、古田新太は、『台風一家』以来、7年ぶりの映画主演作となります。

・物語は、とある中学生が万引をしてしまい、逃走時に車に轢かれ死亡し、その父親が娘の無実の証明をしていくストーリーです。

・序盤から、娘の花音の暮らしが描かれ、父親の充もちょっと横柄なところもあるキャラクターで描かれます。

・工事中の道路を無理矢理通ろうとするところは、意外な伏線ともなっています。

・花音自身も、学校でどのような立ち位置にいたのかというのも描かれ、家でも、別れた母親とも自分の居場所を探すようなところがあります。

・花音自身の内面はギリギリわかるようなわからないような、そんなところがあります。

・父と娘の2人暮らしをしているところの説明がないのが、ちょっとわからないのですが、離婚をした母が親権を持たなかったところはちょっとわかりません。

・物語の発端はシンプルな話のように見えますが、その事件の特殊なところで、視点が父親の行動になっているように思われます。

・娘が事故にあってしまうことで物語が変わり始めますが、事故のシーンが凄惨すぎるところもあり、このインパクトは、様々な人に深い影を落とします。

・当然、現場にいなかった人物にはなおのことで、その事件の経緯が人により事実が湾曲してくるところもあり、この点が本作の興味深いところです。

・芥川龍之介の小説「羅生門」のような印象も受けますが、そこまで湾曲した状況までは生まれません。

・娘の惨劇を充は事後で見ているため、そこまでに至る経緯を正確に知ろうとします。

・ただし、充に性格もあり、多少剛腕な感じで、事実を自分の理想のように進めようとします。

・この点は共感しづらい点もありますが、その現場に居なかったという点と、不器用だったために娘との意思疎通がうまく伝わってなかったことがあります。

・「俺、正直、充さんが親だったらキツイっす」

・仕事仲間からもこう言われてしまうのはちょっと厳しいとも思いますが、そういう生き方をしてきた充は仕方のないところかもしれません。

・「透明だったって」

・これにはちょっとドキッとします。

・物語は、死亡した花音を中心に「父親」「スーパーの店長」「自動車を運転していた女性」「学校の先生」と主体となる視点があり、それぞれが被害者であり加害者でもあるというやりきれないところが充満しています。

・「今になって被害者ぶるのはズルいですよ」

・本作の面白いところは、とある事件が発端となっていながらも、その事件の被害者と加害者の立場がそれぞれの状況により、都度変わっていくところにあります。

・「俺の言い分は聞かないのか?」

・この被害者と加害者の立場というのはどちらも正義のようにもみえ、状況によっては、急に窮地となってしまうところもあり、本作のメッセージ性を感じるところにもなります。

・のり弁当を買ったのに、特製のり弁当ではなかったことに対して、急に切れてしまう点もあり、店長も神経的に病んでしまうのは、見ていても辛い感じがします。

・そこから、展開が変わりはじめ、スーパーの店長のメンタル自体も変わり、事故の被害者家族も、そして、とばっちりを受けてしまったドライバーもそれぞれの視点から見れば、いずれも正義であり、誰しも加害者であるような印象を受けます。

・「だめだよ、正しいことは正しいって伝えていかないと。」

・「正しいとか、正義の強要は苦痛でしかないんですよ」

・スーパーの店長を続けてきただけなのに、突然の事件と社会の視線に巻き込まれてしまったところにも店長のやりきれない、行き場のない思いがあり、観ていてキリキリします。

・「許せないのは自分自身のくせに」

・別れた妻はどの視点からもちょっと一歩おいたところから指摘をしているところがあり、このバランスが絶妙ではありますが、とはいえ、それもまた一つの視点ではないように思えます。

・最終的には行き場のない気持ちが残ってしまう作品ではありますが、主観ではなく、客観を考えることのできる良作ではあります。

 

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空白

空白

  • 古田新太
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「空白」DVD

「空白」DVD

  • 古田新太
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【日本映画】「鋼の錬金術師〔2017〕」を観ての感想・レビュー

【監督】曽利文彦
【出演】山田涼介/水石亜飛夢/本田翼/ディーン・フジオカ/蓮佛美沙子/本郷奏多/國村隼/石丸謙二郎/原田夏希/内山信二/夏菜/大泉洋/佐藤隆太/小日向文世/松雪泰子/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公 エドワードとアルフォンスは、幼い頃に母親を亡くしてしまったことで、生き返らせる一新で錬金術最大の禁忌の人体錬成を行い、失敗する。エドワードは身体の一部、アルフォンスは身体のすべてを失ってしまう。国家錬金術師となったエドワードは、再び人体錬成で失ったものを取り戻すため、「賢者の石」を探す旅をする。

 

 

鋼の錬金術師

鋼の錬金術師

  • 曽利文彦
  • アクション/アドベンチャー
  •  

 

 

・曽利文彦監督は、1977年『未知との遭遇』で感銘を受け、映画監督を志し、1999年「タイタニック」でCGアニメーターとして参加しています。2002年『ピンポン』で映画監督デビューをし、。第26回日本アカデミー賞にて優秀作品賞、優秀監督賞を受賞しています。その後も、CG演出を取り入れた作品を手掛けている監督です。

・山田涼介は、2004年にジャニーズ事務所に入所し、2006年『探偵学園Q』でドラマ出演しています。その後2007年にHey! Say! JUMPのメンバーとしてデビューしています。2015年『暗殺教室』で映画に初主演をし、第39回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞しています。

・水石亜飛夢は、2012年「ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン」で俳優デビューをしています。2015「人狼ゲーム クレイジーフォックス」で映画デビューをし、2019年『笑いの枝折り』では映画初主演を努めています。亜飛夢という名前は兄が「アジアを飛ぶ夢になってほしい」という理由からつけられているそうです。

・本田翼は、2006年にスカウトされ、「Senenteen」の専属モデルとしてデビューしています。2012年「FASHION STORY -Model-」で映画デビューをし、その後も主役から脇役まで幅広い範囲で活躍しています。2018年にYouTubeチャンネル「ほんだのばいく」を開設し、ゲーム実況で記録的なチャンネル登録者数を記録しています。

・序盤から、エドとアルの子供の頃が描かれ、母親の死ということになりますが、よくよく思うと、いかにも西洋風の名前と設定なだけに、コレを日本人でやるのはかなり無理を感じます。

・景色や小道具は漫画版の設定からの内容となりますが、役者自体が日本人で、日本語を喋っていることをまずは素直に受け入れる必要があります。

・色々と設定を踏襲するような作りになっていますが、どうしても、かばんの中身が空っぽのような重量感だったり、小道具の取ってつけたかのような存在感は、風景と世界観に馴染んでいないところは残念です。

・そう思うと、実写化したことについての意義を疑問に思わざるをえません。

・CGを使った特殊効果は迫力はありますが、やはりCGの限界もあり、どうしてもコントラストの強い映像に違和感を感じてしまいます。

・やはりモヤモヤするのは日本人が西洋風の人物を演じているところであり、この違和感が始終ついてまわります。

・賢者の石についての謎がある程度解き明かされるまでの展開となっていますが、終盤まで観終わったタイミングで、だいたい序盤で抱いた要素は、払拭されています。

・まあ、観ているうちに慣れたというほうが理解しやすいのかと思います。

・本作だけでは完結しない作品であり、さらに少なくとも2作が制作されるわけですが、それでも、全27巻の内容を網羅するのはなかなか厳しいだけに、どういう流れとするのかというところが気になります。

 

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鋼の錬金術師

 

 

 

 

 

【日本映画】「決戦は日曜日〔2022〕」を観ての感想・レビュー



【監督】坂下雄一郎
【出演】窪田正孝/宮沢りえ/赤楚衛二/内田慈/小市慢太郎/音尾琢真/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 谷村勉は、とある地方都市で強い地盤を持つ衆議院議員の川島昌平の私設秘書。ある日、川村が病に倒れてしまったことで、その後任として娘の有美が議員となり活動を開始するが、政治の世界をよく知らない有美は、様々な問題を起こしていく。

 

 

決戦は日曜日

決戦は日曜日

  • 坂下雄一郎
  • コメディ
  • ¥2037

 

 

・坂下雄一郎監督は、学生時代から映画に関わる仕事をし、2010年「実家に帰ろう」で映画監督デビューをしています。2011年「ビートルズ」では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて北海道知事賞を受賞し、以降コンスタントに映画やテレビなどの作品を手掛けている監督です。

・窪田正孝は、オーディションに合格し、芸能界入りをし、2006年『チェケラッチョ!! in TOKYO』でテレビ初主演でデビューしています。その後、2008年『ケータイ捜査官7』で主役となり、様々な監督と仕事をし、徐々に評価を上げ、テレビや映画と活躍している俳優です。

・宮沢りえは、11歳でモデルデビューをし、徐々に人気を得て、ドラマや映画で活躍をし、18歳のときに発売した写真集「Santa Fe」でも話題となりますが、婚約問題や母親との関係、マスコミのバッシングなどから活動休止となるも、2002年『たそがれ清兵衛』で落ち着いた演技をみせ、本格女優として活躍をしています。

・物語は、地方都市の衆議院議員の私設秘書として働く主人公が、議員が病に倒れたことがきっかけで後任となった娘に翻弄されながらも彼女を当選に導いていくストーリーです。

・序盤から主人公の谷村が衆議院議員の世話をする姿が描かれます。

・秘書として活躍しますが、議員の川島が病に倒れたことで、娘の有美が政治家として活動していくことになり、それをサポートしていくことになります。

・「いやぁ、正直余裕っすね」

・有力な政治家の代役として娘が活動をしていきますが、色々とやらかすような発言や行動を起こしていきます。

・実際にこういう政治家がいたような気もしますが、そこも含めてコメディでもあります。

・「漢字が読めない」「生活レベルを考えない」「振る舞いが妙に天然」と、やってはイケナイことばかりを描いていく点は普通にコメディです。

・「こうやって困難を乗り越えていくんですよ」

・利益供与を無意識に行ったりと政治家がおこなってはいけないようなところをシレッとやってしまうところも、二代目政治家を揶揄っているようにも思われます。

・演出として、感情移入の先は、秘書の谷村になるような描き方なので、有美の行動の根拠が見えない点については、とてもコメディとしてわかりやすいところとなっています。

・前向きな人物のように見えますが、中身が空っぽすぎるところがこれまたコメディです。

・講演会の人や秘書が振り回されるところは、コメディではありながらも事実っぽいところもあり、この点もコメディです。

・「なんで他人事なんですか?」

・政治家活動のなかで、そこで働くスタッフは、議員が選挙に当選することで仕事となるという視点があり、人物像や政治思想よりも、まずは当選をするということに執着しているところがあり、それ以外のことについては、政治的な点であっても、無関心な点もあり、穏便に当選できるような人物を育てていくという割り切り感を感じます。

・この信念の屈折したような感じもコメディではあります。

・「だからって屋上に行かなくても」

・当事者と傍観者の温度差があるところもコメディです。

・当選に追い込むというよりも落選を狙っていくことにシフトしたことが、だんだんと世論が変わっていき、むしろ支持者が増えていくところもコメディです。

・淡々と普通にドラマを描いていますが、傍若無人な人物を中心として、周囲が悟った感覚であしらいながら、そつなくこなすというところがコメディとなる構造なので、シニカルな笑いが延々と続いていく展開です。

・政治ということを題材としていますが、難しい表現は非常に少なく、むしろ政治活動のハウトゥを描きながら、そこにある矛盾するような妙な価値観をコメディとしている佳作かと思います。

 

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決戦は日曜日

 

 

 

【日本映画】「老後の資金がありません!〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】前田哲
【出演】天海祐希/松重豊/新川優愛/瀬戸利樹/加藤諒/柴田理恵/石井正則/若村麻由美/友近/クリス松村/高橋メアリージュン/佐々木健介/北斗晶/荻原博子/竜雷太/藤田弓子/哀川翔/毒蝮三太夫/三谷幸喜/草笛光子/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公 後藤篤子は、2人の子供と夫の4人ぐらしの平凡な主婦。老後の資金をためにコツコツと貯金をしてきましたが、親類の葬式やパートの解雇、娘の結婚、夫の会社の倒産と様々な苦労をしながらも、日々を過ごしていくコメディ作。

 

 

老後の資金がありません!

老後の資金がありません!

  • 前田哲
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・前田哲監督は、フリーの助監督として多数の作品に参加、1998年オムニバス映画『ポッキー坂恋物語』で監督デビューしています。

・天海祐希は、1987年に宝塚歌劇団に入団し、男役として人気となります。1995年に退団をし、テレビドラマや映画に出演するようになります。1996年「クリスマス黙示録」で映画デビューをし、その後テレビや映画、舞台に出演しています。宝塚歌劇団時代に培った身のこなしに優れており、ダンスのキレがとても良い女優です。

・松重豊は、舞台や演劇の製作に携わっていましたが、俳優を目指すようになり、東京サンシャインボーイズに参加しています。1986年には劇団「蜷川スタジオ」に入団し、1989年に退団し、フリーの俳優として多数の作品に出演しています。1992年「地獄の警備員」で映画デビューをし、多くの作品に出演しています。NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」「孤独のグルメ」脇役から主演まで、独特な個性のある名優です。

・物語は、平凡な4人家族の一家が、親族の葬式や仕事の解雇、結婚や同居などを通じて様々な経験をしていくコメディ作品です。

・序盤から、90,000円のバッグにため息をつく主人公から始まるわけで、ここで本作の金銭的な生活ランクがわかります。

・多くの人に共感できるように設定されているとは思いますが、ここでお金の問題が多く噴出してきます。

・生活レベルの問題もあり、その上で葬式を受け持つところもあり、その費用が出てきます。

・700万の貯金を持つ夫婦という点で、都度、お金ということがつきまといます。

・誰しもが気になるところでもあるので、こういうハウトゥ的な説明はわかりやすく、興味も惹きやすいところはあります。

・その上で、本作はコメディでもあり、社会情勢をコメディでやんわり描いたところになります。

・とはいえ、思えば本作は映画という点がありますが、実際には「TVのスペシャルドラマ」でも良かったのではないか?という点はうずまきます。

・香典があるというところはありますが、葬式の費用はなかなかな出費となるところになります。

・この費用の計算は地味に観ている側も感じてしまうところはあります。

・夫婦で共働きというところもあり、家電量販店での店員をやっていますが、この契約も終了となり、その上で、預金の問題も出てきます。

・さらに、娘の結婚の話も出てくるわけで、当然そこから費用や将来設計が出てきます。

・当然、引っ越しの荷物の積み込みもギャグではあります。

・夫役は松重豊とはなるのですが、スーツ着て街中を歩いていると、どう見ても井の頭五郎にしか見えません。

・娘の結婚相手の家族もコントではあり、また、そもそも本作の特長は軽快なコメディ演出でもあるので、このたっぷり過ぎる演出をむしろ大いに受け入れる気持ちで鑑賞する必要があります。

・要所要所有名俳優がキャスティングされており、ココもまたコント感はあります。

・刑事役としてスリムクラブをみましたが、超久しぶりに見ました。

・自転車の2人乗りは合成ですが、まあ、草笛光子自身に何かあってもしかたないので、こうせざるを得ないですね。

・さらに、母親の生前葬という話も出てくることで「自分自身が主役の承認欲求」というところをちょっと考えてしまいます。

・「ただし、これはあなた自身のために使うのよ」

・終盤、焼き鳥屋に入るときは、完全に井の頭五郎かと思います。

・ダンスの上手い天海祐希とどう見ても井之頭五郎が共演した、サクッとみられるお金をテーマにしながらも、なんとなく家族的なつながりを描いたコメディで、気軽にみられる作品です。

 

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【日本映画】「いとみち〔2021〕」を観ての感想・レビュー

【監督】横浜聡子
【出演】駒井蓮/黒川芽以/横田真悠/中島歩/古坂大魔王/宇野祥平/ジョナゴールド/西川洋子/豊川悦司/
【個人的評価】★★★☆☆

 

【あらすじ】主人公 相馬いとは、人見知りとメイド服へのあこがれより、メイド喫茶でバイトを始める高校生。津軽三味線の腕前を持ちながらも、気恥ずかしさがあり、三味線を弾くことがなかったのですが、とある事件をきっかけに三味線をつかったイベントを企画する。

 

 

いとみち

いとみち

  • 横浜聡子
  • ドラマ
  • ¥2037

 

 

・横浜聡子監督は、青森県出身の監督で、2005年「ちえみちゃんとこっくんぱっちょ」で短編映画、2006年「ジャーマン+雨」で長編映画監督としてデビューしています。その後、2008年「ウルトラミラクルラブストーリー」を制作し、前編津軽弁の作品を制作しています。名字は横浜ではありますが、出身の青森県を題材にした作品を制作する監督です。

・駒井蓮は、青森県平川市出身で、中学生のときにスカウトされます。2016年「セーラー服と機関銃-卒業-」で映画デビューをし、2018年「名前」で初主演をしています。2021年「いとみち」では、地元の青森津津軽地方を舞台とした作品で単独初主演をしています。

・原作は、 越谷オサムの小説となっています。

・タイトルの「いとみち」は、三味線を弾くときに指にできる糸道のことになります。

・序盤、津軽弁で音読をするシーンがありますが、正直、何を言っているのか全然わかりません。

・同じ日本の日本語でありながら、方言には地域ごとに驚かされることは多いです。

・本作を観るには、字幕表示をして観ることを推奨します。

・「津軽弁、全部理解するのは今も無理」

・とあるバイトを始めるのですが、そのバイトは、メイド喫茶のメイドとなります。

・「板柳町」から「青森」までの路線が描かれますが、この距離は意外と遠く、東京と横浜ほどの距離があります。

・なお、メイド服の着こなしを整えるときに、この主人公の身長がかなり高いのが気が付きます。

・メイド喫茶自体は、だいたいどういう場所かはわかりますが、お客も店員も、その空気感をわかった上で行くところであり、遠慮や気恥ずかしさを感じながらやるところではありません。

・父親役を豊川悦司が演じていますが、この飄々としながらも、どこか娘を気にしてくれているところは良い感じです。

・諍いがあって、そのために実家を出ていくのに、部屋の電気を消すところに律儀さを感じます。

・三味線を使ったライブをするところが終盤の盛り上がりではありますが、三味線であるところに大きな意味があります。

・徐々に集まってくるお客には、なんとも言えない気持ちとなるわけですが、メイド喫茶自体、秋葉原にあるような客層やイメージとは異なることに意味もあり、客層も当然変わってきているわけです。

・なかなか垢抜けないいとのキャラクター性もあることで、ライブを行うシーンにはちょっと心動かされます。

・なお、駒井蓮は三味線自体はもともと弾いたことはなかったようで、1年間練習したとのことです。楽器を弾けることはどんなひとでも魅力的にはみえます。

・父と娘の関係を描くことでまとめていますが、序盤を終盤では妙にぎこちなかった表情や行動に変化を感じてしまい、演技なのか、実際の素の姿なのかわからない錯覚をします。

・ポスターからはポップな印象を持ちますが、実はしっかりと地に足のついた作品である意外性のある良作です。

 

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いとみち

いとみち

  • 駒井蓮
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【日本映画】「明日の食卓〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】瀬々敬久
【原作】椰月美智子
【出演】菅野美穂/高畑充希/尾野真千子/外川燎/柴崎楓雅/阿久津慶人/和田聰宏/大東駿介/山口紗弥加/山田真歩/水崎綾女/藤原季節/真行寺君枝/渡辺真起子/菅田俊/烏丸せつ/
【個人的評価】★★★★☆

【あらすじ】石橋留美子は2人の子供がいる43歳のフリーライター、石橋加奈はシングルマザー、石橋あすみは家族3人の専業主婦。その3人には「石橋ユウ」という子供いるという共通点があった。

 

 

明日の食卓

明日の食卓

  • 瀬々敬久
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・瀬々敬久監督は、学生時代に自主映画制作を行い、ポルノ映画を制作をしながらも近年では話題作を制作するようになり、意欲的に映画制作を行なっている監督です。

・菅野美穂は、1992年、中学3年生の時に「桜っ子クラブさくら組」のオーディションに合格し、芸能界デビューしています。1993年「ツインズ教師」で女優デビューをし、1995年「大失恋。」で映画デビューをしています。2013年に堺雅人と結婚しています。

・高畑充希は、幼いころから役者に興味を持ち、2005年『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバック part2 〜屋上の天使』のオーディションに合格し、女優デビュー、その後2016年朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で主演を演じ、安定した人気のある女優です。

・尾野真千子は、14歳のときに映画監督河瀬直美の目に止まり、1997年「萌の朱雀」で映画主演でデビューしています。その後、様々な作品で活躍しています。

・本作は、菅野美穂が10年ぶりに映画主演となる作品です。

・原作は、椰月美智子による長編小説です。

・主題歌は、tokyo blue weeps「Motherland」です。

・物語は、石橋ユウという同名の子供を持つ3人の母親。境遇や場所も違い、関係もない3人でしたが、そのうちの1人の石橋ユウが母親に殺されてしまうストーリーです。

・序盤から3つの家族の生活が描かれます。

・「母と息子のシングルマザーの高畑充希演じる家庭」「夫婦共働きをしている菅野美穂演じる家庭」「裕福そうに見えながらも専業主婦なりの悩みを抱える尾野真千子演じる家庭」と三者三様の生活が描かれます。

・序盤で心奪われたのは、高畑充希演じる家庭で、シングルマザーながら、日々苦労をして生活をしていることが描かれます。

・コンビニ、クリーニングと仕事を掛け持ちしながら、何かのためにお金を貯めている姿が描かれます。

・高畑充希の大阪弁はホント上手いです。

・「ひとりのときのオカンが、死ぬほど疲れた顔をしています。」

・こういう苦労を重ねている様は、他の家族と違い、金銭面での不自由があり、他の家族も、夫婦の不自由、親子の不自由と様々なところが描かれます。

・「こっから出ていけぇ」

・中盤過ぎにこの3つの話がとてもすごいザッピングで演出となります。ここのテンションは高すぎます。

・それぞれの家庭にそれぞれの問題が起こり、それはそれぞれが関係性を持つことなく、ストーリーが進んでいきます。

・「あんたのこと、べつに馬鹿にしてるわけちゃう」

・このシーンの高畑充希はとても良いです。

・母親は母親なりの苦労があり、それぞれの息子の「ユウ」に対して、それぞれの悩みが描かれていきます。

・「ずるいよ、ごまかすな」

・この子供の発言もちょっとグッときます。

・ちょっと複雑そうな物語にみえますが、誰にでも起こり得る事件であるとも書かれており、ちょっと重たいような印象ですが、しっかりと訴えてくるような作品です。

・似たような作品に瀬々敬久監督の「最低。」がありますが、本作は、倫理指定が多少ゆるく指定されているので、色々な人に観てもらえる作品ではあります。

・「息子を殺したのは、私ですか?」というコピーが本作にはつけられていますが、殺したという意味合いで言えば、3人ともにそれが当てはまるところもあります。

・このコピーについては確かに事件が発生していますが、想定とは異なる結末が描かれていくところはあります。

・物語としては、重みのある作品であり、気楽に観られる作品ではありませんが、スイッチの入る瞬間が本作の演出にはあり、その点をしっかりと感じ取れれば良いと思います。

 

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明日の食卓

明日の食卓

  • 菅野美穂
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紀子の食卓

紀子の食卓

  • 吹石一恵
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【日本映画】「子供はわかってあげない〔2021〕」を観ての感想・レビュー



【監督】沖田修一
【出演】上白石萌歌/細田佳央太/千葉雄大/古舘寛治/斉藤由貴/豊川悦司/高橋源一郎/湯川ひな/坂口辰平/兵藤公美/品川徹/きたろう/
【個人的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】主人公 美波は、水泳部の高校二年生。ある日、書道部のもじ(門司)くんと出会い、幼い頃に別れた父親の場所を探しあてる。美波の実の父親と夏休みの間に過ごすことになる。

 

 

子供はわかってあげない

子供はわかってあげない

  • 沖田修一
  • 日本映画
  • ¥2037

 

 

・沖田修一監督は、、日本大学藝術学部映画学科撮影・録音コースで映画を学び、2002年『鍋と友達』で短編映画が評価されます。その後、2006年『このすばらしきせかい』で長編映画を手掛け、2009年『南極料理人』で商業映画監督としてデビューをしています。「キツツキと雨」「横道世之介」などをはじめすべての作品で「監督・脚本」を手掛ける監督です。

・上白石萌歌は、第7回『「東宝シンデレラ」オーディション』でグランプリに選ばれ、芸能界デビューをしています。姉の萌音とともに東宝芸能のシンデレラルーム所属として活躍し、2011年「空色物語 「虹とシマウマ」」で映画デビューをし主演も務めています。映画やテレビ、舞台での活躍もし、「未来のミライ」「劇場版ポケットモンスター ココ」では声優も務めています。

・原作は、田島列島によるモーニングKCの漫画です。

・物語は、女子高生の主人公が、ある日、実の父親の存在をしり、父親探しをはじめ、色々なことを経験していくとある夏休みのストーリーです。

・序盤からいきなりアニメで始まります。なお、このアニメは、劇中アニメ『魔法左官少女バッファローKOTEKO』となっており、颱風グラフィックスの制作の作品です。

・水泳部として、上白石萌歌がスクール水着で登場しますが、それなりに水泳部っぽい感じのガタイです。

・「初期のタッチで描いたんだぁ」

・門司くんと出会い、意気投合するわけですが、上白石萌歌の魅力がとてもわかりやすいです。このわかりやすさが本作の魅力でもあります。

・「その子の書く字に門司くんは残るよ」

・美波には実の父親がいるということで、その父親を探し、会いに行きます。

・そこで出会う父親は、豊川悦司が演じる父親であり、ちょっとヒトクセあります。

・このヒトクセある父親というところが中盤の面白いところで、父と娘の関係を描いていきます。

・今まで一緒に暮らしていなかっただけに生活スタイルなども違うので、コメディっぽい感じでその関係を描いていきます。

・「美波におとうさんと言われていないのに、君が何度もおとうさんと言わないでくれるか?」

・ひと夏の出来事を描いた作品ではあり、題名も1959年フランソワ・トリュフォー監督の「大人は判ってくれない」を意識させる内容であり、なんとなく、そのアンサー映画的なところも感じてしまいます。

・沖田監督の物語の描き方は、人物の魅力を引き出し、その魅力で映画の中に引きずり込んでしまうところが多く、本作も、上白石萌歌の魅力でしっかりと心に残っていきます。

・全体的に意外な展開や衝撃のラストと言うようなこととは皆無ながら、鑑賞後のなんとも言えない晴れやかな感じはスッキリとしてしまう良作かと思います。

・思えば、「横道世之介」もちょっと方向性は違うけど、そんな感じのなんともいえない感が残る作品ではありますね。

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